メッセージ to CAMP for CAMP from CAMP
CAMPの活動に協力してくださる方や、スタッフ・関係者からのメッセージを紹介します。
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第14回目
(2004年12月07日更新)
山田俊行/トヨタ白川郷自然學校 チーフインタープリター
紅葉がピークを迎えた11月6日、岐阜県白川村にてクリケットワークショップを開催しました。このワークショップは白川村の学校行事の一環で10種類ほどの体験教室の一つに入れてもらって実現しました。参加者は親子8組20名、小学校3年生から中学1年生までが対象。どの親子も夢中になって制作にあたり、「時間がもっとほしい」という声が聞かれるほど充実した時間を過ごしました。「やはりおもしろい!」というのが私の一番の感想です。ところで私は以前よりこのクリケットワークショップの楽しさは「形を作り上げること」と「動きを作り上げること」の二つにあると思っています。初めてクリケットを体験したとき、形を作る楽しさは家具作りに関わった経験からよく分かっていたのですが、動きを作る楽しさは私にとって新鮮でした。自分の作ったものが自分の好きなように動く。それも試行錯誤を簡単に(?)できる点が非常に気に入りました。「是非自分でやってみたい」と思いました。さて、私の職場はトヨタ白川郷自然學校といいます。環境研修が可能なエコリゾートです。私がクリケットワークショップを行うならどんな風になるだろうかと考えた結果、形を作る材料は基本的にすべて自然素材を使うことにしました。周辺の森で手に入れた様々な形の葉っぱや木の実、枝などを30種類ほど集めて並べました。そして既述のように実施となったのです。森の素材で形を作り、クリケットで命を吹き込む。そんな一連の作業が私はとても好きです。クリケットで作り上げるものにはなぜか「生き物」が多いと感じています。生き物の形を作るためにはよく見ることが必要で、動きをまねるためにはよく観察することが必要です。生き物の形を見て動きをまねる、そのことは結果として自然全般への理解へつながると私は考えています。そう、私はこれをきっかけとした環境教育を今後は企画していこうと考えています。
【山田俊行(やまだとしゆき)】
1971年生まれ。来春4月6日に世界文化遺産白川郷の隣にオープンするトヨタ白川郷自然學校( http://www.toyota.eco-inst.jp )のチーフインタープリター。森と暮らしをつなぐ「モノづくり環境教育」を得意とする。ペン立てからイス、机、家まで一通りの木のモノづくりをこなす。自然學校では「伝統」「自然体験」「環境技術」を柱にしたプログラムを提供。
第13回目
(2004年11月10日更新)
会田大也/山口情報芸術センター
この夏、山口情報芸術センター(以下YCAM)で開催された「つくれるアニメワークショップ」にはたくさんの子供たちが繰り返し参加してくれた。ワークショップに隠された3つのテーマ、映像の三要素である「フレーミング」「時間」「物語」を題材に用意したコンテンツの中で意外にも最も人気があったのは、一番難しいテーマと思われる「時間」を扱ったワークショップだった。YCAMのような地域に密着した公共文化施設でワークショップを開催していると、何度も足を運んでくれる参加者が見受けられる。インターフェースや説明など、参加者への障壁はなるべく低くなるよう配慮するが、テーマの深さが無ければリピーターには飽きられてしまう。同じ企画に繰り返し参加することによって、目の前で起こる新しい発見は自らの世界観を拡げ、より新しく、より深い発想を生みだしていくことがある。振り返ってみると、開館間もない昨年12月にYCAMで行われたクリケットワークショップはまさにこのタイプだった。そして、一言にワークショップといっても、繰り返し楽しむような展開がありえることを、経験の浅いYCAMに示してくれた。よくデザインされたプログラム環境と、おなじみのレゴブロックは見た目にも子供たちの創作意欲をかきたてる。始めは半信半疑の子供たちもモータが動き出すと一気に集中し、それぞれの思いを達成するために知恵をしぼり始める。制作途中の失敗には凝縮されたヒントや知恵が詰まっていた。「うわぁぁ!」「すげー!」期間中6回も参加してくれた小学校6年生の男の子が、赤外線通信を使って駆動する車「ラストクリケット号とクリケット号ミニマーク2」を発表した時、他の参加者からは驚きと憧れが混ざったような歓声が上がった。満足そうにはにかみながら自分の作品を見つめていた彼の瞳が、10年後に何を見つめているのか、とても楽しみだ。
【会田大也(あいだだいや)】山口情報芸術センター教育普及担当専門員。「メディアと身体」をテーマにしたワークショップやレクチャー等の企画運営を行う。
第12回目
(2004年10月14日更新)
若杉玲子/長久手町文化の家
CAMPのことを知ったのは、今からちょうど1年前。愛知県立大学の小栗教授に紹介していただいたのがきっかけです。その後、「ファシリテーターワークショップ」に参加させていただき、そこでクリケットを体験。この楽しさを一人でも多くのこどもたちに伝えたいと思いました。そして今年の夏休み、小栗ゼミの協力を得て、文化の家で「動くおもちゃづくり~クリケットワークショップ~」を開催することができました。参加者の誰一人、見たことがないクリケット。「わずか30分程度の説明で、こども達はクリケットを理解するんだろうか」という心配をよそに、みんなの目は真剣で、昼食の時間を惜しんでプログラミングに取り組む姿が印象的でした。おもちゃの制作中、それに続く発表会とこども達を囲んで、いっぱい、いっぱい笑いました。ファシリテーターとして参加した大人の方こそが、素敵な時間を過ごせたような気がします。これまでにも文化の家ではこども向けのワークショップ等を行っていますが、大人が口も手も出し過ぎていたような気がします。今回、口を出さない難しさ、見守ることの大切さを実感しました。「うまくできなくて泣いちゃったけど、次はがんばる」とアンケートに書いてくれた子がいました。“次”のときには、どんなアイデアでおもちゃを作ってくれるんだろうかと今からとっても楽しみです。
【若杉玲子(わかすぎれいこ)】
2005年に行われる日本国際博覧会(愛・地球博)の主会場となる愛知県長久手町にある「長久手町文化の家」職員。
第11回目
(2004年09月14日更新)
レオナルド・ボナンニ Leonardo Bonanni/マサチューセッツ工科大学メディアラボ リサーチ・アシスタント
CAMPは、発明やお互いのことを学ぶことのできる、こども達にとっての魔法の場所である。往々にして、私達は新しいこと、特に野心的なことへの試みを恐れるものだが、こども達が何かを恐れないことはよいことだ。彼らは大建築家であり、また生まれながらの発明家であり、才能あるクリエーターだ。不可能を達成するために、彼らには一緒に何かに取り組む機会が必要である。そこでCAMPが役割を持つ。ファシリテーターやディレクターは、こどもたちにアイデアを引き出させ、コンセプトのデザインをさせ、そして複雑な仕事を実行させるための工夫に富む教育法を熟知している。こども達が一旦一緒に仕事に取り組むことを学ぶと、いろいろなメディアで傑作を創り上げることができる。芸術的なことを学び、科学を学び、そして最も大切なことである仲間とアイディアを共有し、課題や計画のために協力しあうことから生まれる力を学ぶ。
CAMPは、発明やお互いのことを学ぶことのできる大人たちにとっての魔法の場所である。私達が躊躇するような仕事に、大きく目を見開いて挑戦していくこども達を見る。これこそが私達がここに居る理由だろう。CAMPを訪れるまで、僕は、私達みんながもともといかにクリエイティブであり、物事に積極的であったかを忘れていた。CAMPは、こども達だけのものではないのだ。CAMPは同じことを大人たちにも教えてくれる。心を開き、一緒に考えることをすれば、私達は何かしたいことを達成することができる。芸術的なことを学び、科学を学び、一緒に何かに取り組むこと以外に、恐れを忘れる良い方法はないことを学ぶのだ。
Leonardo Bonanni has a Master of Architecture from MIT and a Bachelor of Arts in sculpture and architecture from Columbia University. He is currently a Research Assistant at the MIT Media Lab, where he is building prototypes of interactive spaces and products. His designs and research have won international competitions and been widely published. He is exploring ways of making the physical world act like the digital ? making objects and spaces that can change form and appearance to suit our needs and desires.
【レオナルド・ボナンニ Leonardo Bonanni】
マサチューセッツ工科大学建築学修士課程終了、コロンビア大学建築科及び芸術科(彫刻)にて学士課程修了。現在、マサチューセッツ工科大学メディアラボにてリサーチ・アシスタントとして空間と物との相互関係における模型作りに携わる。デザイン及び研究は、国際コンペティションなどにて受賞。また広く出版もされている。デジタルのように動くことのできるフィジカル・ワールド、私達のニーズ、また要望にあうように形や外見を変えることのできる物や空間を研究している。
http://web.media.mit.edu/~amerigo/
第10回目
(2004年08月18日更新)
柳 英克/公立はこだて未来大学 教授
ずーっと昔の幼い頃、象の絵ばかり描いていました。象の計り知れない大きさとユニークな鼻が、幼いイメージを荒唐無稽な夢の世界へ誘う「潜り戸」となって、取りとめのない夢を見せてくれました。象の絵を描く行為はその「潜り戸」を「通る儀式」だったのです。それは夢想への「気付き」と「動機」とも言えます。そして、「気付き」の対象は象から次第に拡張していき、夢想するメディアとして絵を描く行為そのものが好きになりました。
造形作家としてTVの造形番組や絵本の仕事に携わるようになり、幼児の教育現場にも出向くようになりました。そこで、子供の遊びとして最も象徴的な「見立て」が幼い頃の「潜り戸を通る儀式」とおなじであり、「気付き」や「動機」を伴うとても高度な造形活動であることを認識しました。しかし、このことは幼児以外の造形教育の現場ではあまり注目されておらず、むしろ排除されてきました。それは「見立て」のような「気付き」や「動機」を促す教育は知識や技術の教育と違って成果が見えにくく評価も難しいからです。
CAMPのワークショップの思想には「気付き」や「動機」に対する取り組みがあります。この良質なワークショップが、「見える成果」を優先する教育文化にあって、子供たちに最も必要とされる学びの活動です。また、CAMPの活動には営利を優先しないからこそ為し得た貴重な成果があると思います。このことを踏まえて、さらにワークショップという学びに取り組み、教育文化向上のための活動を継続していただきたいと思います。
付録:幼い頃の鮮烈記憶ベスト3
1. ゾウの存在。場所不明!メディアが先か?(4歳)
2. 科学雑誌に掲載されていたリニアモーターカー。現在も所持!(6歳)
3. ツタンカーメン展に2時間並んだ。展覧会写真集所持!(8歳)
【柳 英克(やなぎ ひでかつ)】
京都府生まれ。NHK「できるかな」、フジテレビ「ひらけポンキッキ」をはじめTV・CM・舞台などで、デザイン、イラストレーション、造形美術、アイデアプランを手掛ける。マルチメディア作品による空間演出やパフォーマンスなどの創作活動を経て、2000年4月より公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科に着任する。
ThinkingSketch(シンキングスケッチ)
人間とコンピュータプログラムのインタラクションを通じて「絵」を自動生成するア プリケーション が『Thinking Sketch』です。2003年9月15日にThinking Sketch開発ユニット、はこだて未来大学の美馬先生、木村先生、柳先生をお迎えして、Thinking Sketchワークショップを開催しました。
ワークショップのようす→http://www.camp-k.com/kodomo/museum/102/ThinkingSketchウェブサイト→http://www.sketch.jp/
第9回目
(2004年07月09日更新)
木村健一/公立はこだて未来大学 准教授
最近、私たちは「アトリエ的学び」という言い方を良くします。ワークショップによる学びをもう少し強くしたい、という思いが込められています。
古来、アトリエでは師匠と弟子が言葉ではない言葉(背中で技能や思想を伝授する)を介して表現について学んできました。一応、師匠は弟子よりも優れたモノを持っている事になっていますが、その技能や思想はいずれ共有される事が目標になっています。更に場を共有することで生まれる新しい「ことがら」に積極的に関わろうという気風もありました。そして、いずれ構成員である個人は一人で孤独な試行錯誤が展開されるアトリエを所有します。省察的に自己を見つめる事が重要だからです。
アトリエ的学びはこの二つの要素をあわせ持ったモノと考えています。場所の区切り方や学びを時間的にスライドすることで実現していきます。私たちの表現活動には境界がなく、皆つながっているという実感があります。それに対して既存の学びの場では、時間も空間もユニット化されていて、先生が一方的に知識を文字や図を使って注入しようとします。これは重要で必要なのですが、表現に関わる学びには不適切です。そこでワークショップで問題解決、となるのですが、、、。
ワークショップは何となく「皆で集まって、楽しくやるものだ」という雰囲気があります。だけど、それだけじゃあないだろう、という感じがあります。本当に楽しいのは、ちょっと真面目っぽくても「新しいことがらを生み出すのだ」という部分です。どこかで本格的なリフレクション(省察)が必要なんだという部分です。ここが欠けていると、なんだか気持ちが悪い。そこで私たちは「アトリエ的学び」と言って、念のため「ワークショップ」と区別しているふりをしています。
CAMPはどうでしょう。実はプログラムの中に省察活動が巧妙に仕組まれています。ファシリテータが自然に子ども達にリフレクションを促しています。「皆で集まって、楽しく省察」している。あれ?これはワークショップではなく、「アトリエ的学び」じゃあないのかな。いやいや、これが本当の「ワークショップ」なんだと思います。
【木村健一】
公立はこだて未来大学 助教授。情報デザイン専攻。教員になる前は出版社でアート・デザイン・建築を担当する編集者でした。教育に関わるようになって、「異なる領域の間で言葉を翻訳する第三の人間」の必要性を感じるようになりました。ワークショップの場は、こういう柔らかい事を考えるのに最適です。今やっているコンピュータと芸術の接点にも同じような事を感じて計算機科学分野の活動を行う仲間とともに子供の未来や教育のことにも携わっています(ThinkingSketchプロジェクト)。2003年にはCAMPでワークショップを行いました。
ThinkingSketch(シンキングスケッチ)
人間とコンピュータプログラムのインタラクションを通じて「絵」を自動生成するア プリケーション が『Thinking Sketch』です。2003年9月15日にThinking Sketch開発ユニット、はこだて未来大学の美馬先生、木村先生、柳先生をお迎えして、Thinking Sketchワークショップを開催しました。
ワークショップのようす→http://www.camp-k.com/kodomo/museum/102/
ThinkingSketchウェブサイト→http://www.sketch.jp/
第8回目
(2004年06月10日更新)
美馬義亮/公立はこだて未来大学 准教授
我々が生きている時代は、技術の変化が激しい時代です。今40代の私にとっては、現在一般的な薄型のテレビや録画機、個人が使うコンピュータ、便利な通信手段のどれもが、子供のころにはみんなSFの夢物語でした。これらの技術は、子供心に、「自分が年老いて死んだ頃に誰かが発明するのだろうなあ」と感じていたものですが、もう身の回りの重要な存在になっています。「こんな技術の発展が続くとどうなるのだろう」なんて考えて見ます。
すでに、昔にくらべて人間が行っている生産行為の機械化は進んでおり、今後は自分の生活時間の多くを衣食住の環境を維持するための労働に使うことはさらに少なくなっていくでしょう。こうして生活を支えるために必要な労働が少なくなったとき、人間は自分の時間を何のために使うことになるのでしょうか?教育、表現(芸術、報道)、思想(哲学)といった人と対話したり、自分の内省を深めたりする作業に従事するというのが一つの方向なんだろうと思います。
現代の子供たちには、「よく考えて、上手に表現する」という能力を身に着けるということが、今までの時代に比べてより直接的に生活の質の向上につながるということになります。こんな状況の中で、CAMPでのワークショップのように「子供が本来持っている考える力、ものを作り出すことを考える教育」が大切になると考えます。CAMPには、そのような教育の先導者として活動をつづけていただきたいと期待しています。
【美馬義亮】
公立はこだて未来大学 講師。コンピュータ科学専攻。1984年から1999年までコンピュータメーカーの研究所でソフトウエアの研究に携わっていました。人とコンピュータのかかわりやデザインにも興味を持ちます。コンピュータと芸術の接点はこれからも広がると考え、芸術分野の活動を行う仲間とともに子供の未来や教育のことにも携わっています。2003年にはCAMPでワークショップを行いました。
★ThinkingSketch(シンキングスケッチ)
人間とコンピュータプログラムのインタラクションを通じて「絵」を自動生成するアプリケーション が『Thinking Sketch』です。2003年9月15日にThinking Sketch開発ユニット、はこだて未来大学の美馬先生、木村先生、柳先生をお迎えして、Thinking Sketchワークショップを開催しました。
ワークショップのようす→http://www.camp-k.com/kodomo/museum/102/
ThinkingSketchウェブサイト→http://www.sketch.jp/
第7回目
(2004年05月07日更新)
宮治直子/CAMP参加者 父兄
CAMPでの体験は学校やお稽古事では出来ない特別なもの。お金を払ってでも体験させてやりたいようなワークショップが無料で体験でき、子供の成長にとって、良質な栄養になっていることを実感します。
興味を持って楽しく取り組めるワークショップ。丁寧でわかりやすく教えてくださる講師の方々。子供達の自主性をうまく引き出して、あたたかく見守り、ほめて下さるスタッフの皆さん。仲間と協力して自分達の作品を仕上げたり、自分ひとりで自分の作品をじっくり仕上げたり、どのワークショップも発表する時の我が子の顔は達成感、うまく出来なかった時もやり遂げたことへの満足感で輝いています。
子供がまたCAMPに来たい!と思う、居心地が良い時間を過ごさせてくれるCAMPは本当に素晴らしい場所だと思います。CAMPでの体験が子供の力になっているなぁと思うことが多々あります。クレイメーションの体験を生かして自分でコマ撮りアニメーションを作ったり、海外からの講師の方々と英語で話せたらもっと楽しいはず!と、英語に興味を持ったり、地図で講師の先生の住んでいる場所を探したり、ニュースでその土地の名前が出てくると、耳を傾けたり。スクィークやハイパースコアを家でも友達と一緒にやってみたり等々。
CAMPのおかげで子供の興味、関心の幅がグンと広がりました。13歳のハローワークではありませんが、講師の方々と接することでこんな仕事もあるんだ、色々なジャンルの好きなことを極めて仕事にしている大人がいるんだなぁ、自分も頑張ればなれるかも!と夢や希望が膨らむ様子は親として本当に嬉しいことです。
もっともっと色々なジャンルのワークショップを企画してください。何でもやってみたいウチの子はCAMPからのワークショップたよりを楽しみにしています。これからもよろしくお願いします。
【みやじなおこ】
中学1年生と小学5年生の女の子2人のお母さんです。
第6回目
(2004年04月09日更新)
ミッチェル・レズニック Mitchel Resnick/マサチューセッツ工科大学 メディアラボ 教授
CAMPの多くのワークショップで、こどもたちはデザインすることを試みます。彼らは、まず何かをデザインすることから始めるでしょう・・・たとえば、クリケットを使ってインタラクティブな作品づくりや、ハイパースコアを使っての曲作りなど。そして、こどもたちはそれを十分に試してみます。
しかし概して、思ったようにいかないことが多々あります。だからまたデザインしなおし、再度試してみるのです。何かを試みる過程で、こどもたちは多くの新しいことを学んでいます。
私は、CAMPそのものもデザインの試みだと思っています。CAMPのクリエーターたちは、ただ観るだけでない『ワークショップ』に焦点をあてた新しいタイプの『チルドレンズミュージアム』を目指しています。新しいワークショップは、それぞれ試みでもあります。そこでは、こどもたちだけが学んでいるわけではありません。ワークショップのリーダー達もまた学んでいます。そしてその経験に基づき、ワークショップをデザインしなおし、CAMPが進むべきヴィジョンを見直しているのです。
私自身、CAMPの試みに携わることができ光栄です。CAMPのクリケットワークショップで、こどもたちが作りだしたすばらしい作品の数々をみることがとてもうれしいです。そして何より、未来のチルドレンズミュージアムのモデルとして、CAMP自身がこれからどのように展開していくのかを楽しみにしています。
In many workshops at CAMP, children work on design experiments. They start by designing something -- perhaps with an interactive sculpture with Crickets, or a musical composition with Hyperscore. Then they try it out. Typically, it doesn't work exactly as they expected, so they redesign and try again. In the process of experimenting, they learn many new things.
I see CAMP itself as a design experiment. The creators of CAMP are designing a new type of children's museum, focusing on workshops rather than exhibits. Each new workshop is an experiment: the children aren't the only ones learning, the workshop leaders are learning too. Based on their experiences, they redesign the workshops and refine their vision of what CAMP might become.
I'm honored to be part of the CAMP experiment. It's exciting to see the wonderful sculptures and creatures that children create in the Cricket workshops at CAMP. It's even more exciting to see how CAMP itself is evolving -- serving as a model for what children's museums can become in the future.
【ミッチェル・レズニック氏 プロフィール】
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ 准教授
人々(特にこどもたち)が新しい方法で新しいことを学ぶ手助けをするために、レズニック氏の研究グループでは、人々が新しいタイプのデザイン活動や学習を体験することのできる新しいテクノロジの開発(LEGOプログラマブル・ブリック、StarLogoソフトウェアを含む)をすすめている。低所得コミュニティの青少年のための学習センターのネットワークであるコンピューター・クラブハウスの創設にも携わる。
第5回目
(2004年03月11日更新)
金井真介/特定非営利活動法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン 代表
『暗闇』は、五感を静かにとりもどしてくれます。
美しい音楽を聴く時、大切な話に耳を傾ける時、手を合わせ祈りの時をもつ時、何かを想いだそうとする時、私達は自然に目を閉じたりしませんか?これは、私たちが、あえて感覚機能の感度を上げるために視覚を塞いでいるのです。ところで、なぜ、いま、この『暗闇』が、私たちに必要なのでしょうか?
まず、私たちをとりまく環境は、エネルギー自給率の乏しい国にもかかわらず、蛍光灯、水銀灯などで夜も非常に明るいこと。2つ目は、そうした均一的な時間、距離感の中で、常に視覚メディア(テレビ・ゲーム・メールなど)に接し、情報伝達スピードが、速くなりすぎて、感じる時間がなくなっていること。また、相手を思いやることなく、自分の立場を中心に一方的に話を進めることが多いこと。これらのためにニュートラルで平らな関係で対話する機会が少なく、その力が弱まっています。しかし、その私たちが、DIDでまっくらな中に入ると、「自分の輪郭が、ほかのひとと溶けていくような気がした。」「はじめての暗闇は、とても気持ちよく、饒舌になった。」「こんなにひとが、温かいとは思わなかった。母を思い出した。」など、普段よりもひとつひとつをゆっくりと味わいながら、忘れてしまっている五感をも同時に蘇らせていきます。
今回CAMPでの『DID』が、あの星の王子様の言葉「大切なことは、目には、みえない」のように、日常の時間を立ち止まらせ、こどものこころを繋ぎ直すきっかけとなることをお祈りします。
【金井真介プロフィール】
1992年、ウィーン発「Dialog in the Dark」の新聞記事と衝撃的に出会う。そのコンセプトに驚き、すぐさま発案者ハイネッケ氏に連絡。様々なところで働きかけた結果、99年秋、東京ビックサイトで紹介後、神戸、仙台、東京などで開催、これまで3000名に楽しんでもらう。DIDを社会のインフラとして常設するために2002年秋、NPO法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンを設立。理事長。現在に至る。いま、出会ってから10年を経て、できるだけ多くの方に体験してもらうべく、この夏、東京で1ヶ月間、DID開催実現のために走り回っている。
第4回目
(2004年02月12日更新)
駒形克己/グラフィックデザイナー
1月24日の朝、東京から新幹線で京都に向かう。着くとすぐ駅構内のレストランを物色。ところがまだ11時前とあってほとんどが閉店。やっと見つけた喫茶店で軽く食事をし、また慌ただしく近鉄線に乗り込む。「ワークショップの時って、いつもこんな感じだなぁー」とスタッフと苦笑い?大川センターに着くと、まず広々とした芝生に出迎えられ、ガラス張りの建物には光がさんさんとふりそそいでいる。やがて午後のゆるやかな陽射しの中、10数組の家族を対象にワークショップが始まる。床に車座になり子どもも大人もとてもくつろいでいる様子。今までに国内外のいろいろな場所に出掛けたが、こんなにも親子がじっくりワークショップを楽しめる場所は他に見当たらない。さらにスタッフの人たちの対応が実に素晴らしい。そう、まさに五つ星の大川センターなのです。百聞は一見にしかず、ぜひお立寄りください。
【駒形克己プロフィール】
1977年渡米。ニューヨークCBS本社などで、グラフィックデザイナーとして活躍後、1983年帰国。1986年ONE STROKE設立。以後、多数の絵本を同社より出版。また展示、ワークショップ活動を世界各地で展開。2003年モントルイユで開催された国際児童図書展で、フランスの有力紙ル・モンドに『世代を超えるコマガタ』と評される。その領域は、絵本、デザインなど独自のモノづくりへと発展し、ボローニャ国際児童図書展・特別賞など世界的な賞を受賞する。
ONE STROKEホームページ http://www.one-stroke.co.jp/
第3回目
(2004年01月08日更新)
中村伊知哉/(株)CSK顧問 (現 国際IT財団 専務理事)
あれから5年になります。赤坂にあるCSK会長室で、故・大川功さんが眼下に東京を一望しながらおっしゃった。「京都の南に研究所を作ろと思うんや。庭は桜が満開で、世界の要人が来たら茶室でおもてなしできる研究所な。」MITOkawaセンターの計画が公表されて間もない99年2月のことです。
それなら「こども」にフォーカスしたらいいですね、と申し上げるや、「そや。Japan 大川センターやな。」と即断。「考えてくれるか。」後にCAMPとなる構想が動き始めます。CSK関係者と議論を重ねた末、世界でも類をみない「こどものワークショップセンター」という純粋な形に集約されていきました。
その2年後、CAMPがオープン。残念ながら大川さんは直前に世を去りましたが、それからのCAMPの活躍は解説を要しません。拙著「デジタルのおもちゃ箱」にも記録したとおりです。この3年間に実績を作り上げてきた関係者のご努力には頭が下がります。
その取組がきっかけとなり、政府もこの分野の重要性を認知するようになりました。産学官連携のNPO「CANVAS」も設立され、全国・国際的な運動へと発展しつつあります。今後もCAMPにはフロントランナーとして突き進んでもらいたいものです。
CANVASホームページ http://www.canvas.ws/
【中村伊知哉プロフィール】
スタンフォード日本センター研究所長、MIT客員教授。(株)CSK顧問。98年、郵政省を退職後、MIT大川センターの設立に従事するとともにCAMP設立に携わる。2002年には子どもの創造力・表現力を高めるNPO「CANVAS」の設立にも関与。http://www.ichiya.org
2003年
ファシリテーターリレーコラム
CAMPで活動するファシリテーターが、ワークショップへの想いを語ります。
2020年
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2004年
第14回目
(2004年12月07日更新)
もり ひでき
ファシリテータ-としてワークショップに参加していると、こどもたちの様子を肌で感じることができます。真剣なまなざしで作品づくりに集中しているこどもたち。何度も何度も失敗しながら、でも繰り返し挑戦し続けるこどもたち。輝くような表情で「見て見て!」と作品を見せてくれるこどもたちの様子に、いつも元気づけられています。「楽しかった!」「また、やりたい。」「今日は、久しぶりに頭を使った!(普段、どんな頭を使っているのか少々心配でもありますが・・)」といい残して帰っていくこどもたちの後姿を見ながら、準備や運営に走りまわって少々へとへとになっている体と、なんともいえない充実感と余韻の組み合わせが、自分にとってワークショップの魅力でもあります。参加者にとっても、運営する私たちにとっても魅力的なワークショップ。「ワークショップのよさをもっと解明したい。」最近、そんなことを考えています。これからCAMPでも少しずつではありますが、ワークショップをテーマにした研究活動を行っていきたいと思っています。また、いろいろな場で皆さんにもご報告できればと思います。
第13回目
(2004年11月10日更新)
いちはし ゆき
あかるいほうへ
CAMPでこどもたちと過ごした時間は私の宝物です。ワークショップへやってきた多くのこどもたちは、言いました。「はじめはできないと思ったけれど、できてうれしかった」そして、こんな風に言っていたこどもたちがいつの間にか、できないとは思っていなくなっている、ということを初めて知った時、驚きと喜びでいっぱいになったことを覚えています。子どもたちの明るさがそうさせたのだと思いはじめました。
子どもたちの内側の明るさは、自分の内側を照らすだけではなくて、周りをも照らしているようです。明るさの効果は偉大だと思います。夢を持つことができ、そして、その夢が叶うことを疑わずに一生懸命考え、失敗を恐れず行動に移し、努力します。そんな子どもたちから、私はたくさんの明るさをわけてもらいました。
私は、今、CAMPを旅立とうとしています。これからはイタリアの地で絵画の制作と研究に励むことになります。たくさんの明るさや、勇気を分けてくれた子どもたちに感謝して、また会える日を楽しみに待ちたいと思います。その頃には、こどもたちはこどもたちではなくなっているかもしれません。大好きなみんなが日々成長していく姿を、見守り続けることができないことはとても残念だけれど、みんなからもらった明るさを信じ、進みたいと思います。
あかるいほうへ、あかるいほうへ。
CAMPから飛び立つ、1粒の、たんぽぽの綿毛は、みんなと一緒に過ごした日々を大切な宝物にしています。そして、いつかまた、会える日を楽しみにしています。
子どもたちと同じくらい、素晴らしい仲間に出会えたこと、明るい世界を持った大人に出会えたこと。アイデアを出し合い、意見を交換しあい、そして高めあった時間。失敗を共に悔しいと思い、喜びをいっそう大きくして分け合ったこと。私のもう1つの、大切な宝物。
第12回目
(2004年10月14日更新)
うえのうけんじ
こどもの発想力といっても大人にかなうわけない。こどもはすごいと言いつつも、どこかでそう思っていました。作業の丁寧さ、出来上がりの完成度。やっぱりそうだ、「こども」として見ているからこどもなのにすごい、ってなってる。
それでもすごいっと感じてしまう改めて考える。なんで、すごいって感じてしまうんだろう?予想外のアイデアに出会ったとき、その瞬間「お!」という言葉がもれている。精度ではなくアイデアを出すという点ではこどもも大人も公平。見てきたものも、考えてることも違う別人。対等だ。良いアイデアなんだ。
そのアイデアを出したのが大人だったらどうだろう?悔しくてあんなのすごくないって思うかもしれない。あの人はすごい人だねーとおもうかもしれない。前者には、良いものを認める素直さと自分は思いつかなかったと認める勇気が、後者には、自分ならどうだろうと考える向上心と未知の分野に対する好奇心が、それぞれ少しばかり足りなくなっているんじゃないか?こどもの作品の中にあるアイデアは素直にキラキラと輝いてみえて、その集中力と表情、「おもしろそう!」という一言が生きるエネルギーに満ち満ちていて、思わず微笑んでしまう。「楽しそう!」
こどもは活動を見る僕の「いい格好しい」の部分を取っ払って「やる気」を惜しげもなくくれる。う~む…。
「みんな、ありがとう、大好き!」としか言えません!
第11回目
(2004年09月14日更新)
にしおか たける
初めてCAMPに顔を出した時のこと。
ファシリテーター?
初めて聞く言葉が、CAMPでの自分の立場。その日はなんのこっちゃ分からない状態で終了。
家に帰り、早速久しく開いてない英和辞典を引く。
facilitate:(行動などを)促進する
なるほど、こども達の創作活動を促進すればいいわけね!言葉をかけて、やる気を起こさせればいいわけだ。なんだ、俺得意じゃん。
ところが、人生そんなに甘くない。
あるワークショップでのこと。
素材を手にしたままいっこうに作業を始めない子がいた。よっしゃ!いっちょ声をかけて一緒に作っていこう。しかし、どんなに声をかけても、やはり手を動かしてくれない。自分以外のファシリテーターもその子のことは気になるのか入れ替り立ち替り声をかける。しかし、やはりだめ。
そんな時、ファシリテーターの一人がこう言った。
ほっとこう
まじですか?と内心びくびくしながらも、ほっといてみた。
やはり、手は動かない。
もう終わっちゃう…。
その時、遂にその子の手が動いたのだった。
僕達ファシリテーターは、やろう、やろうと声をかけてこどもの創作活動を促すことは必要です。しかし、時には前述のようなこども達を信じて見守るということも必要なのではないでしょうか。こども達はやらないのではなく、思考しているのかもしれません。思考することは目に見えない創作活動なのです。それを汲み取ってあげることはとても難しいことですが、僕達ファシリテーターには必要なことだと思います。
「無言のfacilitate」
それが、僕がCAMPに参加して一番印象深く学んだことです。
第10回目
(2004年08月18日更新)
こうた じゅんこ
小さいころの夢って、おぼえていますか?
私は幼稚園のころは「お姉さん」(妹だったので)、小学校低学年は「せんせい」、小学校高学年は「動物園の飼育員」「獣医さん」「音楽家」、中学になってからは特になく、高校になると「デザインの仕事」。脈絡のない夢は、いつの間にか「デザイン」に絞り込まれ、最終的には「デザイン」→「インテリアデザイン」→「プロダクトデザイン」となりました。「おもちゃデザイナー」を経て、今の職業はといえば、「ワークショップデザイナー」兼「グラフィックデザイナー」。
CAMPのワークショップでは、いろいろなテーマをとりあげています。先日の「サマーハウス」ワークショップでは、建築をテーマに、こどもたちは図面を描いたり模型を作ったりする工程を経て、家を建てました。参加者のお母さんの感想に、「先日まで生物学者になると言っていたのが、建築家になりたいと言っていました」と書いてくださっていました。それを読んだ瞬間、ワークショップでの疲れがふっとびました!CAMPで体験したことを、夢のひとつにしてもらえることは本当に嬉しい!
夢を思い描き続ける力は未来をつくっていくと思っています。夢が叶わないことがあるかもしれない、苦しい思いをするかもしれない。それでも、夢を持つことはステキなことです。
今の私の夢は、CAMPに来るこどもたちの夢の種になるようなワークショップをたくさん!考え続けることです。今、皆さんは夢がありますか?
第9回目
(2004年07月09日更新)
やまざき さほこ
「見て、見て!」こどもの声にふりむくと溢れんばかりの笑顔!
こどものできないことをお手伝いしたとき「ありがとう!」の元気な声!
まだ慣れないCAMPのワークショップ。
どきどきの私。
そんなこどもの反応に少しだけ緊張がほぐれる。
そのときのファシリテータは、たぶん私ではなくてこども。
いろいろな体験をし、おとなになりこどもの時にできなかったことができるようになったこともあるけれど、逆にできたことができなくなったこともある。
私たちおとなは、自分の体験を活かしファシリテートをする一方で、こどもから自分が忘れてきている何か、失ってしまった何かを得るファシリテートをされている気がする。私も元気にこどもに伝えたい「ありがとう!」と・・・。
第8回目
(2004年06月10日更新)
こんどうかずま
少し前に学習講座のCMで算数の問題が出ていました。
7 + 3 = □
□ + □ = 10
「上は日本での算数の問題。」
「下はイギリスなど欧米諸国での問題。」
とナレータの声。
上の日本の問題では、考えないでも回答が可能。しかし欧米諸国の問題は自分で考えなければ回答を導き出せない。
「確かに考える力を養うには下の問題だろう」
と私は感じたが、きっと同感だった人も多いのではないか?
ファシリテータとして、どんな風に伝えたら良いのか。きっとひとつの答えではないことは分かってきているが、ファシリテータは常に悩むことを忘れてはいけないのだと感じています。
第7回目
(2004年05月07日更新)
くさかなつこ
あなたは、何かに夢中になっている時の自分の顔を見たことがありますか?
私は、ワークショップで写真を撮る係になることがあります。
こどもたちが生き生きと何かに夢中になっているときの顔を私は、
「いい顔」 とよんでいます。
「いいこと考えた!」の顔
「どうしよう・・・」の顔
「おもしろい!!」の顔
「なんで?」の顔
「すごいな!」の顔
一日のワークショップでシャッターを押す回数は、数百回。
部屋の中は、「いい顔」でいっぱいになります。
私は、その写真で何ができるでしょう?
写真は、動いてゆく時間をとどめておくことができます。
一日の終わりに、
「あぁおもしろかった!」のあなたにも
「うまくいかなかったな・・・」のあなたにも
この時、楽しかったな。
まわりの友達は、こんなことしててんな。自分のこんな顔はじめて見たわ。
そんなことを感じながらCAMPで過ごした一日を思いかえす時間のお役に立てたらいいなと思っています。
第6回目
(2004年04月09日更新)
いしかわ さよ
一体どこからそんな発想が出てくるの!?
毎回、ワークショップに参加する度に、大人顔負けのアイデアに驚かされます。子どもたちのアイデアに、ほんの少しテクノロジーや講師の方のエッセンスが加わるだけで、さらに個性豊かな作品が勢ぞろい。出来上がった作品を「こんなのできたよ!」と満足気に説明してくれる子の顔をみると、思わずこちらまで顔がほころんでしまいます。例えば、クリケットワークショップではプログラミングをすることで、子どもたちの作ったおもちゃが思い通りに動いたり、光ったりするので、「僕(私)でもこんなおもちゃが作れた!」と自分自身に驚いている子を多く見かけます。どのワークショップにも共通することですが、出来上がった作品を子供たちが見た時に、自分自身の持っている力に気づいて「オッ!」と息を呑む瞬間を見ることができるのもファシリテーターの醍醐味といえるでしょう。
子どもたちにとって、一回一回のワークショップの経験は小さな出来事なのかもしれませんが、そこで得た小さな自信が糧となり、大きな自信へと繋がっていくことを願ってやみません。その子どもたちの充実した経験を少しでもお手伝いできればと思っています。
第5回目
(2004年03月11日更新)
ますだたみ
子ども達のアイディアがひらめく瞬間に立ち会えることや、初めて会った子ども同士が、共同作業をすることでいつの間にか友達になっていること。そんなシーンを垣間見れるのがファシリテーターをやれてよかったと感じられる瞬間です。
先日東京で行われたCAMPのクリケットワークショップに集まった子どもたちは最初、期待と不安の入り混じった緊張した面持ちにみえました。はきはきと元気な子もいるけど、もじもじ気味の子、「友達できるかなぁ」とつぶやいていた男の子もいて、大丈夫だよと励ましつつはじまったワークショップでした。
初対面の子どもたちでのグループ制作は大丈夫かな?パソコンの操作もできるかな?素材もたくさん用意してあるけど、使ってくれるかな?そんな私の心配は、いざ始まると子どもたちによって吹き飛ばされました。思いがけないアイディアもあり、協力、分担しあって、着々と作品ができていくことには驚きです!
ハイテクでもアナログでも、創作活動を通した共同作業で協力しあう体験は、社会の基本となる人の関係を大事に思うきっかけになるのではないでしょうか。なんて、難しい事は言わなくても、ワークショップの最後にはまるで以前からの友達のようにうちとけた子ども達の姿が見られた東京での1日でした。
第16回目
(2004年02月15日更新)
もりもとまき
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
ドキドキ…ドキドキ…
自宅から大川センターまで電車に揺られること約2時間。朝起きてからワークショップが始まるまで緊張すること約○時間。どんなに朝早くても、電車の中では目がパッチリ。
「今日はどんな1日になるのかな」
「どんなこども達と出会えるのかな」
そんなことを考えていると、一瞬で大川センターに着いてしまいます。ワークショップが始まるその時まで緊張しっぱなしです。その時まで…。
「こんにちは!」笑顔でワークショップの主役達が到着。すると、プチッ!て糸が切れたように私の緊張がほぐれてしまいます。こども達の笑顔につられて私も笑顔に…よし!頑張ろう!て気合を入れてもらっています。そして、ファシリテーターとしてCAMPに来てから様々なこどもの発見がありました。いろいろなこども達の表情を見ることができたのも1つ。そして何より、こども達の声です。
「こんにちは!」
「見て!見て!」
「出来たよ!」
「ちょっと手伝って!」
「ありがとう!」
こんなに人の声って、心に響くものだっけ?どうしてこどもの声って人の心に素直に響くのだろう…。不思議だなぁ。
自分の中で新たな発見・疑問ができたからには追求したい。これからもたくさんのこども達と触れ合い、たくさんの“表情”と向き合い、そしてたくさんの“声”と出会っていきたいと思います。
第4回目
(2004年02月12日更新)
むらたきょうこ
はじめの第一歩。
「僕は、楽器を習ってないし、音楽は苦手だし、いつもはまったく興味がありません。でも、このワークショップはおもろしろそうだから来てみた。」
11月のハイパースコアのワークショップに参加したある男の子が自己紹介のとき言った言葉です。
なんだかとても染みました。
トライする前にそれは無理、とあきらめてしまったり、時間がないから、と目をつむったり・・・自分と趣味や興味を持つものが違う人には、壁をつくってしまったり・・・おもしろいかもしれないのに・・・・もったいないっ!
だから、ここに来るこどもたちには、CAMPを通して、一緒に過ごす友達を通して、やっぱり苦手かもしれない、でも案外おもしろいかもしれないいろんな世界をちょっとのぞいて見て、いろんなことを感じて「楽」習していってほしいと思います。そして、そこからはじまる第一歩が二歩目へつながるように、より楽しくおもしろくなるようにファシリテートしていけたら、と思います。
第3回目
(2004年01月08日更新)
もりひでき
こどもには、かなわない。
ワークショップでこどもたちを見ていると、いつも感じます。好奇心や集中力、そして何かを学び取ろうとする力。こどもたちが、生まれながらに持っている本当にすばらしい能力です。ワークショップの中では、いろいろなことが起きています。
「どうしてそんなの見つけられたの?」と、大人の私たちにはできないような発見をしたり。「・・・?」と、びっくりするようなことにこだわりを持ったり。うれしそうに「見てみて!」といいながらつくったものをお互いに見せあったり、一緒に遊んでみたり。(何かちょっといい「モノ」ができると無性に見せたくなるのは不思議です。)「すごい!」と思ったことは、大きな声に出して感心してみたり。「おもしろい!」と思ったことには、思いっきり笑ってみたり。そんな「いいアイデア」を横目で眺めながら、こそっとまねしてみたり。こどもたちって、本当にすごいです。悔しいですが、ちょっと自分には真似できないことばかり。(ワークショップの時は、意地を張って無理してみますが。)
自分でも気づかぬうちに、大人未満の存在として「こども」を見てしまいがちです。もちろん、大人と比べると未発達なこどもを、守り育てていくのは私たち大人の責務だと思います。でも実は、こどものほうが「すごい」こともたくさんあることを、日々感じます。