コラム

コラム

boy メッセージ to CAMP for CAMP from CAMP girl

CAMPの活動に協力してくださる方や、スタッフ・関係者からのメッセージを紹介します。

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

第26回目
(2005年12月16日更新)

西岡貞一/筑波大学図書館情報メディア研究科 客員教授

11月の4日間、筑波大学ではこどもたちに表現する楽しさや、アイデアをまとめ上げる面白さを味わってもらおうというねらいでワークショップを開催しました。CAMPと牛久市立中央図書館にご協力をいただき50人以上のこどもたちと10数人の大学生と図書館スタッフがクリケットワークショップに参加しました。

色とりどりの小物とクリケット、そして本がいっぱいの空間からは次々とひらめきが生まれました。一つのモーターで動いているとは思えない巧みな動作を繰り返したり、ストローや布の切れ端が綺麗な羽根飾りにかわったり。本当に驚きの連続でした。

いつものCAMPワークショップと同じくらい会場はものを作る楽しさでいっぱい、参加者の中から将来もの作りと関わる子供達がでてくるかもしれません。
10年後、展覧会場や試写会で「昔クリケットやったよ」とか「君もCAMP」といった会話が交わされる予感がします。

ワークショップ開催のもう一つのねらいは学生達にチームでゴールすることの醍醐味と難しさを味わってもらうことでした。こどもたちの思いがけない行動、予定通とはかぎらない進行の中で戸惑いながらも真剣にファシリテーターを務めてくれました。

「アイデアを生み出し、それを具体的に実現する」だけでも大変なことなのに、それを人にやってもらう、しかも同時にたくさんのこどもたちに。普段は自分一人で行動することの多い学生達にとっては新鮮な体験でした。

おかげさまで、図書館でのワークショップを続けていく手がかりをつかむことができました。計画から開催まで半年、オープンでハッピーなCAMPのみなさんには本当にお世話になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

西岡貞一(にしおかていいち)
凸版印刷株式会社でCG、インターネットなどデジタルメディアの研究に関わる。
バーチャルリアリティを使ったミュージアムの展示などをてがける。「作ってわかる、使ってわかる」をモットーにたくさんの失敗作を生み出してきた。
2001年より筑波大学図書館情報メディア研究科客員教授。

第25回目
(2005年11月09日更新)

森 秀樹/株式会社CSKホールディングス 社会貢献推進室 大川センター

「ワークショップをつくることを通じて、ワークショップを学ぶ」

立上げからCAMPに関わりはじめて、早いもので5年が経ちました。この間本当に多くの方々と一緒にワークショップについて考え、小中学生を中心に、幼稚園児から高校生、大学生、大学院生に社会人、学校の先生方まで幅広い年代を対象にワークショップを実施する機会に恵まれました。

CAMPでのワークショップは、表現活動をテーマにしています。ワークショップのなかで表現活動に、ものづくりに取組むこどもたちはもちろん、ワークショップをつくることを通じて、私たちスタッフも多くのことを学んでいることを実感します。時には、こどもたちより自分たちのほうが、ワークショップを通じて多くを学んでいるのではないかと思うことすらあります。

CAMPと、その活動であるワークショップをつくることを通じて、自分なりにワークショップについて学んできた5年間であったように思えます。何かをつくりだす経験のなかでこそ、私たちは多くのことを学ぶことができることを経験できた5年間でもありました。

現在、新しく「学びとワークショップ」をテーマとしたプロジェクトの立上げに関わっています。このプロジェクトをつくることを通じて、どんなことを自分なりに学ぶことができるか、楽しみです。

森 秀樹(もりひでき)
慶應義塾大学環境情報学部卒。(株)セガ入社。エデュテイメントソフトウェアの企画開発を担当。米国マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ客員研究員を経て2001年より(株)CSK(現(株)CSKホールディングス)でCAMPを担当。甲南女子大学非常勤講師、関西学院大学非常勤講師を兼務。

第24回目
(2005年10月06日更新)

市橋 ゆき/アーティスト

再会の歓び

8月に行われたサマーハウスワークショップに参加しました。私にとって、久しぶりのワークショップ。久しぶりの、日本のこどもたち。昨年の10月にイタリアへ渡った私は、夏の短い帰国と、ワークショップをとても楽しみにして
受付が始まり目に飛び込んできたのは、知っているこどもたち。明るい笑顔が、息を弾ませながら走ってきます。「こんにちは」と、挨拶。また会えたことが嬉しくて、再会の歓びを感じる一瞬。こどもたちの、興味を抱いている事や、話し方の変化は、時間の流れを感じさせました。
流れる時間の中で、お互いを取り巻く環境が変化しても再会できたことが、奇跡のように貴重なものに思えます。再会はお互いが元気な印。長い時間をかけ一人の成長を見るということが、どれほど幸せで愉しく、嬉しいことなのだろうと感じた夏のワークショップでした。

長い時間とは別に、1日ごと、時間ごとに、変化する姿を見ることもありました。前日と次の日の取り組み方の違い、朝と夕方とで変化する作業の細かさ。
急に手先が器用になったわけではなくて、工夫や、気持ちの持ちようで、次々に多くのことができるようになる姿。日々、わずかの時間でも、こどもたちの内側から引き出されるものの多さに驚きます。うまくいかないときは、泣きそうになりながら、それでも家をつくりあげたこどもたちが、とても大きな人に映りました。

市橋 ゆき(いちはし ゆき)
2001年3月から2004年10月まで、CAMPのファシリテーターとして、CAMPワークショップの企画、運営に携わりました。2004年11月より、イタリア国立美術学院に留学。絵画の制作に励む日々です。1995年より絵画作品の発表を開始し現在に至りますが、今後も、こどもとアート、こどもと文化について、引き続き考えていきたいと思います。

第23回目
(2005年09月12日更新)

荒木貴之/立命館小学校 教頭

私はプログラミング経験者ですが、こどもでも簡単に単純な動きができるよう工夫されているシステムだと思いました。PCをさわっていて、自分の書いたものが、実際の動きとなったときのこどもの顔が、とても生き生きとしていて良かったです」

クリケットを使って「おばけロボット」をつくった、ある低学年児童の保護者からの感想です。

7月31日と8月1日の2日間、CAMPにご協力いただき、来年開校する立命館小学校への入学を希望する幼児、児童を対象として「立命館小学校プレスクール」を開催しました。立命館小学校では、将来、国際社会の中で活躍するリーダーを育成することをミッションに、さまざまな特色ある教育を実践していく予定ですが、その中でも、論理性や創造性、倫理観などを身に付けるために、ロボットに関するカリキュラムを1年生から6年生まで系統的に実施します。校舎内には「ロボットの部屋」を設け、児童は納得のゆくまでロボット制作に取り組むことができます。そのような教育環境の中で、制作したロボットを制御するコンピュータとして、クリケットを導入したいと私たちは考えています。
今回のプレスクールは、CAMPスタッフの皆さんにとっても、もちろん私たち小学校教員にとっても、未就学の幼児を対象としたクリケットを使ったロボット制作は初めての試みでした。しかし、事前申し込みは定員を大幅に超え、ロボットについてのこどもたちの関心と期待の高さを実感しました。
2ヶ月間にわたる準備の中で、私たち教員も大川センターで開催されるクリケット・ワークショップへファシリテーターとして参加させていただいたり、ワークショップの雰囲気をそのまま再現するために、机・いすから時計にいたるまで大学の校舎へ搬入していただいたりと、ソフト・ハードの両面からCAMPの全面的な支援をいただきました。結果は、冒頭の通り、大成功。参加したこどもたちも、参観した保護者も、そして私たちスタッフも笑顔がいっぱいで、大満足のプレスクールとなりました。

今回のプレスクールをきっかけに、CAMPとの共同研究を進め、「理科嫌い・理科離れ」の解決につながるプログラムを開発していきたいと考えています。
もちろん、立命館小学校だからできる、CAMPだからできる、というものではなく、ちょっとした工夫で、どの学校でもできる、そんなプログラムを開発したいと思っています。

荒木貴之(あらき たかゆき)
東京都公立中学校理科教諭から、東京都北区教育委員会及び東京都教育庁指導
主事に。文部科学省「理科大好きスクール」「サイエンス・パートナーシップ
・プログラム(SPP)」などのコーディネーターとして理科・科学教育の振
興に取り組む。現在、立命館大学立命館小学校設置準備室室長補佐。
http://www.ritsumei.ac.jp/primary/

第22回目
(2005年08月09日更新)

彦田 美香子/株式会社グローバル・シフト・コミュニケーション

ふれあい

2005年3月。
一通のメールが、CAMPとの「ふれあい」のきっかけでした。

・・・新たなメンバーも加わり、新たな出発へ向けてCAMPプロジェクトメンバー全員で思いを共有したい・・・
私の新たな「ふれあい」が、ここから始まりました。
今回はその"思いの共有"を実現するお手伝い役として、かかわらせていただきました。

そんな中、CAMPではたくさんの「ふれあい」を発見することができました。
自然とのふれあい
社会とのふれあい
人とのふれあい

少し小高く広い丘の上にある、リゾートホテルのような建物。太陽の光燦々と注ぎ込む、キラキラと光った大きな窓。窓の外には、たくさんの水をたたえた大きな池と、桜の木。そして、庭のはずれにある鐘。5人のこども達が一斉に走れるくらいの、広くて長い廊下。体育館のような大きな部屋。
そんな豊かな環境の大川センターは、自然との調和を保ちながら自然とのふれあいを楽しんでいるかのようでした。

これからの未来を担うこどもたちが、自由にのびのびと想像や創造と出会い、ふれあう。
たくさんの知恵を創り出すこども達をサポートする、そんな役割をCAMPは担っているのだと思います。

そして、そこでこども達とふれあうCAMPメンバー。
純真なこどもの気持ちを大きな心で受けとめながら、こども達のたくさんの可能性を引き出していました。
きっとそこで知り合ったこども達は、人と人との「ふれあい」の大切さを肌で感じることができるでしょう。
人やモノ、自然や社会との「ふれあい」の大切さをCAMPメンバーはこども達1人1人へ伝えているのだと実感しました。

その大切な役割を担うために、まずCAMPメンバー同士がふれあい、そして思いを共有していく・・・

人々が生きていくための「ふれあい」の大切さを、CAMPの皆さんに教えていただきました。
とてもステキな時間を、皆さんと過ごすことができました。感謝です。

彦田 美香子(ひこだ みかこ)
コミュニケーションプロデューサー&プロセスファシリテーター。人、そして組織の「かかわり」を大切にしたコミュニケーション(対話)に関わるファシリテーション、研修、コンサルティング活動を行う企業を設立。『おもてなしの心』(エンターテイメント)を常に忘れずに"コミュニケーション・エンターテーナー"として、"感動するコミュニケーションづくり"のサポートを行う。

㈱グローバル・シフト・コミュニケーション  http://www.gshift.com

第21回目
(2005年07月07日更新)

石戸奈々子/NPO法人CANVAS副理事長

イマジン&リアライズ。
私の好きな言葉です。

CAMPのコラボレイターであるMITメディアラボから教えてもらいました。
「想像」して「創造」する。
今までにない表現様式や新しいコミュニケーションを生み出す「道具」をつくりたい。
それが私の夢でした。
そんなときに出会ったのがCAMPです。
桜の木に囲まれた広大な敷地にたたずむガラス張りの建物。
外からの日差しに照らされ、色とりどりの魅力的なオモチャが輝く作業スペース。
そして数々のクリエイティブなワークショップ。
理想的な遊びの空間、創造の源泉がそこにありました。
その後、ヨーロッパ、アメリカを中心としたチルドレンミュージアムも見てまわりました。
そうか、想像して創造するには、場と道具の両方が必要なのだ。
そうか、これからの新しい社会、未来を、想像して創造するのは
こどもたちの世代なのだ。
そう感じました。
CAMPに触発されて、CANVASというNPOをたちあげました。
CANVASは、こどもたちの創造力・表現力のプラットフォームです。
CAMPのような素晴らしい活動が全国各地に広がって欲しい。
できるだけ多くのこどもたちにクリエイティブな環境に触れて欲しい。
そのための「場づくり」です。
想像する心と創造する力。
CAMPは両方を培ってくれるのだと思います。

石戸奈々子(いしど ななこ)
東京大学卒業後、渡米し、MITメディアラボ客員研究員に。スタンフォード日本センターのプロジェクトコーディネイターを兼職。その間、こどもの創造力・表現力をはぐくむNPO法人「CANVAS」を創設し、現在、CANVAS理事兼事務局長。総務省・経済産業研究所などのポップカルチャー研究プロジェクトにも参加。

http://www.canvas.ws/

第20回目
(2005年06月07日更新)

寺山 直哉/大阪電気通信大学 デジタルアート・アニメーション学科 助教授

5月7日、CAMPでのCMづくりワークショップ

ちょきちょき、ぺたぺた、こねこね、ああでもない、こうでもない、、、
こどもたちは色々やっていました。そこで僕らは、こどもたちに「大丈夫、こわがらないで。どんどんやってみよう!ほら、これをこうやったら?」とか言ったりして。

しかしこどもたちはそんな僕たち大人の心配や思い込みとは全く別次元で、どんどん様々なアイディアを出し、次々と実行してゆくのでした。う~ん、正に恐るべきこどもたち。ワークショップを終えた後の感想でスタッフの1人が言いました「自分たちが無くしてしまった何かをこどもたちに感じました」、確かに。ただ、本当にそうなのか?本当に僕達は、その何かを無くしてしまったのか?

ちょきちょき、ぺたぺた、こねこね、ああでもない、こうでもない、、、
大人たちも色々やってきました。僕たち大人はこどもたちよりもほんの少し長い時間を生きる間に様々なものを身につけてはきましたが、手放せずにいるのではないでしょうか。相対的な時間に対する感覚を少しでも変えて感じてみると、「こども」も「大人」もそんなに大差ないんじゃないかって思えませんか?
知識や経験等に関する様々な恐れを手放すことで、大人である僕たち自身もずっと「恐るべきこどもたち」で居続けられるのではないでしょうか。それは言わば、真の自分自身を取り戻すことだと思います。

CAMPでのこどもとの時間は、誰でも、いつだってこどものようなまっさらな気持になれるということを思い出させてくれました。
どんどん手放して、軽くなって、楽になって、いくらでも変わってゆける。

ワークショップって何でしょう?
それは、Not how to say,but how to do!

(株)CSKの創業者、大川功氏の理念の中にある「真の豊かさ」とは。それは、既に自分の中に全てが揃っているのだと知ることではないでしょうか。
CAMPでのワークショップは、いつでも、どこでも、だれとでも、なんでもできると思える心を育む場所だと思います。そしてそれぞれの人生を幸せにするためのhow to doでもあると。だから「世界平和」が訪れるんですね、大川さん!

心ひとつの置きどころ。。。

いつも素晴らしい場を、ありがとうございます。

寺山直哉(てらやま なおや)
京都市立芸術大学 大学院を修了後、CGプロダクションにディレクターとして勤務、主にCMやゲーム、展示映像等のアニメーション制作を手掛ける。2002年より大阪電気通信大学 総合情報学部 メディア情報文化学科(2006年度よりデジタルアート・アニメーション学科に名称変更)教員となり、同大学内先端マルチメディア合同研究所:JIAMS(ジェイムス)の運営主任を勤める。http://www.ddaa.jp/

第19回目
(2005年05月09日更新)

仲村 功/那覇市教育委員会

こんにちは、那覇市教育委員会 生涯学習課の仲村 功です。

那覇市では「子どもの好奇心、想像力、創造力を育てる子どものための事業」を、地域力を活用した「那覇こどものためのデザイン~まちがまるごとミュージアム構想~」として展開するために、市民と協働で基本構想づくりに取り組みました。

構想づくりのため、今年1月に東京で開催された「ワークショップコレクション2005」を視察した際、クリケットワークショップと出会いました。
その時のこどもたちの目の輝きと、一生懸命さに感銘を受け、『これだ!私が求めていた構想のモデルとなる事業は!!』というわけで、那覇市でのクリケットワークショップ実施へ向けての調整が始まり、年度末も押し迫った3月25,26日の両日、CAMPの全面的な協力の下、実施と相成りました。

両日とも午前中はファシリテーター養成研修、午後にこどもワークショップ実
施のスケジュールで進めましたが、初日に予定していた子どもたちが時間通りに集まらず、スタッフおよび関係者をヤキモキさせてしまいました。
結局、初日は30分遅れのワークショップ開催となりましたが、さすがCAMP
のワークショップ、いざ始まればこどもたちは夢中になり目は輝き、やんちゃ
なこもプログラムや作品づくりに集中している姿が印象的で、その作品の独創性にも感心させられました。
作品づくりに取り組んでいる時のこどもたちの真剣な眼差し、作品が完成した時の満足げな顔、今の私自身を含む大人たちが忘れかけている何かがそこに・・

次代を担うこどもたちの好奇心、創造力、表現力を育むCAMPの活動に大きな期待を寄せると共に、こどもの視点に立ったこどものための社会づくりに取り組んでいかなければならないと思う今日この頃です。

仲村 功(なかむらいさお)
那覇市教育委員会 生涯学習部生涯学習課 勤務。平成16年度より「那覇こどものためのデザイン事業(那覇市チルドレンズ・ミュージアム)」を担当。
趣味はカメラ、オーディオ、釣りなど多数。

第18回目
(2005年04月13日更新)

向田順子/デザイナー

こんにちは、CAMPのコウタです。
春!ですね。
CAMPは今年で5年目の春を迎えました。
同時に私もCAMPで過ごす5度目の春です。

長距離を全速力で走り続けてきたような、4年の歳月。少しここらでスピードをおとして、いろいろなことを見つめなおしてみよう・・・・
そうだ!それには遠い国に出かけよう!(考え方が極端です・・・)ということで、先日まで1ヶ月半ほど、イギリスとイタリアに出かけていました。

イギリス、イタリアには、それぞれすばらしいミュージアムやギャラリーがあり、こどもや家族を対象としたワークショップやアクティビティ
があります。毎日足を棒にしながら見に行きました。

イタリアのフィレンツェで、小さな企画展をしていました。テーマは「京都とフィレンツェのこどもたちの絵画展」。イタリアと日本、それぞれのこどもたちが描いた絵の展覧会です。各国同じ年代のこどもが描いた絵ですが、風土や文化の違いからでしょうか、やはり違いがあります。

イタリアのこどもたちの色彩は豊かで鮮やかです。比べて、日本のこどもたちの色彩は、にごった色が多い。また、絵のタッチや雰囲気など、どことなく違いがあるように思いました。どちらがいいとか悪いとかではなく、お互いに違うからこそ見比べて面白いのです。

そして、それぞれの絵をもっと細かく見ていくと、それぞれのこどもの個性が見えてきます。

CAMPのワークショップでは、それぞれのこどもたちが自分の力に気づいたり、力を発揮することを大切にしています。と同時に、他人のことを見たり、意見を聞いたりすることも大切に思っています。

「個性を伸ばす」ことは、一歩間違うと自己を押し通し、他人の意見を聞かなくなることにつながります。でも、本当の「個性を伸ばす」ということは、それぞれの持ち味を生かしながら、他人のよさを認めることによって、より自分の幅を広げることであったり、楽しみ、喜びが増していくことではないでしょうか。

この絵画展を見ることで、日本と、日本人である自分、またそれ以前に1人の人間である自分を見つめなおしました。そして、改めてCAMPがこれまで歩んできた道、これから歩もうとしている道を確認し、CAMPに帰ってきました。

遠く旅に出ていても、考えるきっかけをくれたのは、こどもたちでした。5年目のCAMPも、たくさんのこどもたちといっしょに輝けますように!!

【向田順子(こうたじゅんこ)】
前職はおもちゃデザイナー、そして岡山にある現代玩具博物館の職員。
CAMPのロゴデザインをきっかけに、2001年2月よりCAMPグラフィックデザイナー、CAMPファシリテーター、CAMPワークショップデザイナーとして勤務しています。今後はCAMPの活動に携わる傍ら、「親子、家族」をテーマにしたワークショップを考え、実施していきます。

第17回目
(2005年03月16日更新)

市橋ゆき/アーティスト

初めてCAMPを訪れた、ある春の朝。まだ、新しい建物のにおいの残る静かな空間、少ないスタッフ、大きなガラス、ガラス越しに見える春の庭。春の光が美しくて、その日1日が楽しい日になりそうだと、胸が高鳴ったことを覚えています。この日以来、CAMPでファシリテーターをする機会に恵まれたこと、ワークショップを通し、多くのこどもたちと出会い、そして、日々成長していく様子をみることができたことは、とても大きな喜びです。CAMPでは、ワークショップという短い時間を何回も重ねながら、こどもたちの成長する様子を見守ることができました。
  
中学生になったこどもたちが久しぶりにワークショップに来た時のこと。外見も内側も成長した姿に驚かされるのと同時に、小学校4、5年生の頃と変わらないあかるい笑顔や、この世界を見る期待のこもった目が、変わらず生き生きとしていることを確認し、とても嬉しくなりました。こどもたちの言葉、ワークショップの時に見せてくれたあかるい表情、観察する目、様々なことを不思議に思う気持ち。それから自らワークショップをつくっていこう、楽しいものにしていこうとする姿勢などを見るたび、これからどんな人に成長していくのか、どのようにして、この世界を飛んでいくのかを想い、豊かな人生を切り開いていくこどもたちの姿がいつも目に浮かびました。
  
CAMPでこどもたちと過ごした時間やこどもたちの言葉を思い出す時、同じ場所で、同じ言葉を聞きながらファシリテーターをしていた私もまた、CAMPを通過していったこどもたちのうちの一人だったのだなぁ・・・と、思うのです。CAMPを通過するということは、背中に、目に見えない羽が生えるということ。期待のこもった目でこの世界を見、自ら人生をつくっていこう、楽しいものにしていこうとする、背中に羽の生えたこどもたちが、これからも多く産まれますように。

【市橋ゆき(いちはしゆき)】
2001年3月から2004年10月まで、CAMPのファシリテーターとして、CAMPワークショップの企画、運営に携わりました。2004年11月より、イタリア国立美術学院に留学。絵画の制作と研究に励む日々です。1995年より絵画作品の発表を開始し現在に至りますが、今後も、こどもとアート、こどもと文化について、引き続き考えていきたいと思います。

第16回目
(2005年02月15日更新)

上田信行/同志社女子大学 現代社会学部 現代こども学科 教授

CAMPはアートとテクノロジーを融合した先端的なワークショップができる世界でも数少ないチルドレンズ・ミュージアムだと思います。CAMPを訪れた人は感じると思いますが、ここに来るとこどもも大人も、ワクワク、ドキドキして「モノづくり」に夢中になってしまいます。CAMPで行われている魅力的なワークショップが、プレイフルで、創造的で、協同的な空気感を生みだしているのでしょう。
  
僕は3年前に「Fostering Creativity」というプロジェクトで北イタリアのレッジョ・エミリアにある幼児学校を訪れました。ここで行われているプロジェッタチオーネ(progettazione)と呼ばれているプロジェクト活動を見たとき、「あ~、僕がイメージしていた学びの活動がすべてここにある」という衝撃を受けました。このレッジョ・エミリアと同じような驚きを、僕がCAMPで見た最初のワークショップでも感じました。アメリカ人のアーティストによる最初のクリケットワークショップだったのですが、今でもその時の「すごい!」と思った気持ちが鮮烈な記憶として残っています。
  
CAMPでは「学び、デザイン、テクノロジー」を相互浸透的に交差させながら、「こどもとワークショップ」の先端的実践研究を今年から本格的に始めるということを聞いています。CAMPがこどもの未来を拓いていく学びのエンジンとして、新しい学習環境デザイン研究の拠点になっていくことを楽しみにしています。CAMPは「希望のメディア」だから!

【上田信行(うえだ のぶゆき)】
1950年奈良県生まれ。同志社大学卒業後、セントラルミシガン大学大学院ハーバード大学教育大学院で学ぶ。ハーバード大学教育学博士(Ed.D.)。甲南女子大学教授をを経て、現在、同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授。専門は教育工学。学習環境デザインとメディア教育についての実践的研究を行っている。そのための実験的アトリエとして奈良県にneo Museumを作り、1990年以来、現在まで数多くの実験的ワークショプをデザインしている。

第15回目
(2005年01月07日更新)

橋本知子/株式会社文化総合研究所 チーフディレクター

私がはじめて大川センターのCAMPを訪ねたのは、2001年6月、まだオープンして間もないときのことでした。第一印象は「うらやましい!」。こんなに素敵な環境の中で、こどもたちと向き合いながらじっくりとワークショップを開発していけるとは、ここのスタッフはなんて恵まれているんだろう。建物や設備をめぐりながら、何度「うらやましい」とつぶやいたことでしょう。

でも残念なことに、そのときには実際のこども向けワークショップに接することはできませんでした。再びCAMPを訪れ、その機会を得ることができたのは3年後の2004年春のことでした。そしてまた、第一印象は「うらやましい!」。こんなに素敵な環境の中で、きちんとトレーニングされたスタッフに囲まれ、入念に組み立てられた『ワークショップ』を体験できるとは、参加しているこどもたちはなんて恵まれているんだろう。整えられた素材や道具をながめ、4時間のワークショップを拝見しながら、また何度も「うらやましい」とつぶやいていました。

スタッフにとっても参加するこどもたちにとっても恵まれた環境の中で、大切に育てられた『ワークショップ』。この内容もまた、とても恵まれた魅力的なものになっています。そんな『ワークショップ』を少しでも多くの方に届けたいと、今CAMPでは、その方法を模索しています。

ぜひ多くの方々に、私の感じた「うらやましい!」を、あこがれだけで終わらせてしまうことなく、実践して、参加して、「よかった!」という実感に変えて、受け取っていただけることを願っています。

【橋本知子(はしもと ともこ)】
ミュージアムなど文化施設の運営や、施設・展示計画の調査研究を行っている株式会社文化総合研究所のチーフディレクター。特に子どもとミュージアムとの関係に興味を持ち、ミュージアムでの教育普及活動や海外の「チルドレンズ・ミュージアム」に関する調査研究をすすめている。最近では、『ワークショップ』の持つ奥深い魅力に惹かれ、ワークショッププログラムの開発やコーディネートも行っている。今年度よりCAMPワークショップの普及コーディネートにも関わる。

2004年

2003年

boy ファシリテーターリレーコラム girl

CAMPで活動するファシリテーターが、ワークショップへの想いを語ります。

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

第14回目
(2004年12月07日更新)

もり ひでき

ファシリテータ-としてワークショップに参加していると、こどもたちの様子を肌で感じることができます。真剣なまなざしで作品づくりに集中しているこどもたち。何度も何度も失敗しながら、でも繰り返し挑戦し続けるこどもたち。輝くような表情で「見て見て!」と作品を見せてくれるこどもたちの様子に、いつも元気づけられています。「楽しかった!」「また、やりたい。」「今日は、久しぶりに頭を使った!(普段、どんな頭を使っているのか少々心配でもありますが・・)」といい残して帰っていくこどもたちの後姿を見ながら、準備や運営に走りまわって少々へとへとになっている体と、なんともいえない充実感と余韻の組み合わせが、自分にとってワークショップの魅力でもあります。参加者にとっても、運営する私たちにとっても魅力的なワークショップ。「ワークショップのよさをもっと解明したい。」最近、そんなことを考えています。これからCAMPでも少しずつではありますが、ワークショップをテーマにした研究活動を行っていきたいと思っています。また、いろいろな場で皆さんにもご報告できればと思います。

第13回目
(2004年11月10日更新)

いちはし ゆき

あかるいほうへ
CAMPでこどもたちと過ごした時間は私の宝物です。ワークショップへやってきた多くのこどもたちは、言いました。「はじめはできないと思ったけれど、できてうれしかった」そして、こんな風に言っていたこどもたちがいつの間にか、できないとは思っていなくなっている、ということを初めて知った時、驚きと喜びでいっぱいになったことを覚えています。子どもたちの明るさがそうさせたのだと思いはじめました。
 
子どもたちの内側の明るさは、自分の内側を照らすだけではなくて、周りをも照らしているようです。明るさの効果は偉大だと思います。夢を持つことができ、そして、その夢が叶うことを疑わずに一生懸命考え、失敗を恐れず行動に移し、努力します。そんな子どもたちから、私はたくさんの明るさをわけてもらいました。
 
私は、今、CAMPを旅立とうとしています。これからはイタリアの地で絵画の制作と研究に励むことになります。たくさんの明るさや、勇気を分けてくれた子どもたちに感謝して、また会える日を楽しみに待ちたいと思います。その頃には、こどもたちはこどもたちではなくなっているかもしれません。大好きなみんなが日々成長していく姿を、見守り続けることができないことはとても残念だけれど、みんなからもらった明るさを信じ、進みたいと思います。

あかるいほうへ、あかるいほうへ。

CAMPから飛び立つ、1粒の、たんぽぽの綿毛は、みんなと一緒に過ごした日々を大切な宝物にしています。そして、いつかまた、会える日を楽しみにしています。

子どもたちと同じくらい、素晴らしい仲間に出会えたこと、明るい世界を持った大人に出会えたこと。アイデアを出し合い、意見を交換しあい、そして高めあった時間。失敗を共に悔しいと思い、喜びをいっそう大きくして分け合ったこと。私のもう1つの、大切な宝物。

第12回目
(2004年10月14日更新)

うえのうけんじ

こどもの発想力といっても大人にかなうわけない。こどもはすごいと言いつつも、どこかでそう思っていました。作業の丁寧さ、出来上がりの完成度。やっぱりそうだ、「こども」として見ているからこどもなのにすごい、ってなってる。

それでもすごいっと感じてしまう改めて考える。なんで、すごいって感じてしまうんだろう?予想外のアイデアに出会ったとき、その瞬間「お!」という言葉がもれている。精度ではなくアイデアを出すという点ではこどもも大人も公平。見てきたものも、考えてることも違う別人。対等だ。良いアイデアなんだ。

そのアイデアを出したのが大人だったらどうだろう?悔しくてあんなのすごくないって思うかもしれない。あの人はすごい人だねーとおもうかもしれない。前者には、良いものを認める素直さと自分は思いつかなかったと認める勇気が、後者には、自分ならどうだろうと考える向上心と未知の分野に対する好奇心が、それぞれ少しばかり足りなくなっているんじゃないか?こどもの作品の中にあるアイデアは素直にキラキラと輝いてみえて、その集中力と表情、「おもしろそう!」という一言が生きるエネルギーに満ち満ちていて、思わず微笑んでしまう。「楽しそう!」

こどもは活動を見る僕の「いい格好しい」の部分を取っ払って「やる気」を惜しげもなくくれる。う~む…。
「みんな、ありがとう、大好き!」としか言えません!

第11回目
(2004年09月14日更新)

にしおか たける

初めてCAMPに顔を出した時のこと。

ファシリテーター?
初めて聞く言葉が、CAMPでの自分の立場。その日はなんのこっちゃ分からない状態で終了。

家に帰り、早速久しく開いてない英和辞典を引く。
facilitate:(行動などを)促進する
なるほど、こども達の創作活動を促進すればいいわけね!言葉をかけて、やる気を起こさせればいいわけだ。なんだ、俺得意じゃん。

ところが、人生そんなに甘くない。

あるワークショップでのこと。
素材を手にしたままいっこうに作業を始めない子がいた。よっしゃ!いっちょ声をかけて一緒に作っていこう。しかし、どんなに声をかけても、やはり手を動かしてくれない。自分以外のファシリテーターもその子のことは気になるのか入れ替り立ち替り声をかける。しかし、やはりだめ。

そんな時、ファシリテーターの一人がこう言った。
ほっとこう
まじですか?と内心びくびくしながらも、ほっといてみた。
やはり、手は動かない。

もう終わっちゃう…。

その時、遂にその子の手が動いたのだった。

僕達ファシリテーターは、やろう、やろうと声をかけてこどもの創作活動を促すことは必要です。しかし、時には前述のようなこども達を信じて見守るということも必要なのではないでしょうか。こども達はやらないのではなく、思考しているのかもしれません。思考することは目に見えない創作活動なのです。それを汲み取ってあげることはとても難しいことですが、僕達ファシリテーターには必要なことだと思います。

「無言のfacilitate」
それが、僕がCAMPに参加して一番印象深く学んだことです。

第10回目
(2004年08月18日更新)

こうた じゅんこ

小さいころの夢って、おぼえていますか?

私は幼稚園のころは「お姉さん」(妹だったので)、小学校低学年は「せんせい」、小学校高学年は「動物園の飼育員」「獣医さん」「音楽家」、中学になってからは特になく、高校になると「デザインの仕事」。脈絡のない夢は、いつの間にか「デザイン」に絞り込まれ、最終的には「デザイン」→「インテリアデザイン」→「プロダクトデザイン」となりました。「おもちゃデザイナー」を経て、今の職業はといえば、「ワークショップデザイナー」兼「グラフィックデザイナー」。

CAMPのワークショップでは、いろいろなテーマをとりあげています。先日の「サマーハウス」ワークショップでは、建築をテーマに、こどもたちは図面を描いたり模型を作ったりする工程を経て、家を建てました。参加者のお母さんの感想に、「先日まで生物学者になると言っていたのが、建築家になりたいと言っていました」と書いてくださっていました。それを読んだ瞬間、ワークショップでの疲れがふっとびました!CAMPで体験したことを、夢のひとつにしてもらえることは本当に嬉しい!

夢を思い描き続ける力は未来をつくっていくと思っています。夢が叶わないことがあるかもしれない、苦しい思いをするかもしれない。それでも、夢を持つことはステキなことです。

今の私の夢は、CAMPに来るこどもたちの夢の種になるようなワークショップをたくさん!考え続けることです。今、皆さんは夢がありますか?
 

第9回目
(2004年07月09日更新)

やまざき さほこ 

「見て、見て!」こどもの声にふりむくと溢れんばかりの笑顔!
こどものできないことをお手伝いしたとき「ありがとう!」の元気な声!
まだ慣れないCAMPのワークショップ。
どきどきの私。
そんなこどもの反応に少しだけ緊張がほぐれる。
そのときのファシリテータは、たぶん私ではなくてこども。
いろいろな体験をし、おとなになりこどもの時にできなかったことができるようになったこともあるけれど、逆にできたことができなくなったこともある。

私たちおとなは、自分の体験を活かしファシリテートをする一方で、こどもから自分が忘れてきている何か、失ってしまった何かを得るファシリテートをされている気がする。私も元気にこどもに伝えたい「ありがとう!」と・・・。

第8回目
(2004年06月10日更新)

こんどうかずま

少し前に学習講座のCMで算数の問題が出ていました。

7 + 3 = □
□ + □ = 10

「上は日本での算数の問題。」
「下はイギリスなど欧米諸国での問題。」

とナレータの声。

上の日本の問題では、考えないでも回答が可能。しかし欧米諸国の問題は自分で考えなければ回答を導き出せない。

「確かに考える力を養うには下の問題だろう」
と私は感じたが、きっと同感だった人も多いのではないか?

ファシリテータとして、どんな風に伝えたら良いのか。きっとひとつの答えではないことは分かってきているが、ファシリテータは常に悩むことを忘れてはいけないのだと感じています。

第7回目
(2004年05月07日更新)

くさかなつこ

あなたは、何かに夢中になっている時の自分の顔を見たことがありますか?
   
私は、ワークショップで写真を撮る係になることがあります。
   
こどもたちが生き生きと何かに夢中になっているときの顔を私は、
「いい顔」 とよんでいます。
  
「いいこと考えた!」の顔
「どうしよう・・・」の顔
「おもしろい!!」の顔
「なんで?」の顔
「すごいな!」の顔
  
一日のワークショップでシャッターを押す回数は、数百回。
部屋の中は、「いい顔」でいっぱいになります。
  
私は、その写真で何ができるでしょう?
写真は、動いてゆく時間をとどめておくことができます。
  
一日の終わりに、
「あぁおもしろかった!」のあなたにも
「うまくいかなかったな・・・」のあなたにも
  
この時、楽しかったな。
まわりの友達は、こんなことしててんな。自分のこんな顔はじめて見たわ。
  
そんなことを感じながらCAMPで過ごした一日を思いかえす時間のお役に立てたらいいなと思っています。

第6回目
(2004年04月09日更新)

いしかわ さよ

一体どこからそんな発想が出てくるの!?

毎回、ワークショップに参加する度に、大人顔負けのアイデアに驚かされます。子どもたちのアイデアに、ほんの少しテクノロジーや講師の方のエッセンスが加わるだけで、さらに個性豊かな作品が勢ぞろい。出来上がった作品を「こんなのできたよ!」と満足気に説明してくれる子の顔をみると、思わずこちらまで顔がほころんでしまいます。例えば、クリケットワークショップではプログラミングをすることで、子どもたちの作ったおもちゃが思い通りに動いたり、光ったりするので、「僕(私)でもこんなおもちゃが作れた!」と自分自身に驚いている子を多く見かけます。どのワークショップにも共通することですが、出来上がった作品を子供たちが見た時に、自分自身の持っている力に気づいて「オッ!」と息を呑む瞬間を見ることができるのもファシリテーターの醍醐味といえるでしょう。
子どもたちにとって、一回一回のワークショップの経験は小さな出来事なのかもしれませんが、そこで得た小さな自信が糧となり、大きな自信へと繋がっていくことを願ってやみません。その子どもたちの充実した経験を少しでもお手伝いできればと思っています。
  

第5回目
(2004年03月11日更新)

ますだたみ

子ども達のアイディアがひらめく瞬間に立ち会えることや、初めて会った子ども同士が、共同作業をすることでいつの間にか友達になっていること。そんなシーンを垣間見れるのがファシリテーターをやれてよかったと感じられる瞬間です。

先日東京で行われたCAMPのクリケットワークショップに集まった子どもたちは最初、期待と不安の入り混じった緊張した面持ちにみえました。はきはきと元気な子もいるけど、もじもじ気味の子、「友達できるかなぁ」とつぶやいていた男の子もいて、大丈夫だよと励ましつつはじまったワークショップでした。

初対面の子どもたちでのグループ制作は大丈夫かな?パソコンの操作もできるかな?素材もたくさん用意してあるけど、使ってくれるかな?そんな私の心配は、いざ始まると子どもたちによって吹き飛ばされました。思いがけないアイディアもあり、協力、分担しあって、着々と作品ができていくことには驚きです!

ハイテクでもアナログでも、創作活動を通した共同作業で協力しあう体験は、社会の基本となる人の関係を大事に思うきっかけになるのではないでしょうか。なんて、難しい事は言わなくても、ワークショップの最後にはまるで以前からの友達のようにうちとけた子ども達の姿が見られた東京での1日でした。

第16回目
(2004年02月15日更新)

もりもとまき

ガタンゴトン…ガタンゴトン…
  
ドキドキ…ドキドキ…
  
自宅から大川センターまで電車に揺られること約2時間。朝起きてからワークショップが始まるまで緊張すること約○時間。どんなに朝早くても、電車の中では目がパッチリ。
「今日はどんな1日になるのかな」
「どんなこども達と出会えるのかな」
そんなことを考えていると、一瞬で大川センターに着いてしまいます。ワークショップが始まるその時まで緊張しっぱなしです。その時まで…。
  
「こんにちは!」笑顔でワークショップの主役達が到着。すると、プチッ!て糸が切れたように私の緊張がほぐれてしまいます。こども達の笑顔につられて私も笑顔に…よし!頑張ろう!て気合を入れてもらっています。そして、ファシリテーターとしてCAMPに来てから様々なこどもの発見がありました。いろいろなこども達の表情を見ることができたのも1つ。そして何より、こども達の声です。
  
「こんにちは!」
  
「見て!見て!」
  
「出来たよ!」
  
「ちょっと手伝って!」
  
「ありがとう!」
  
こんなに人の声って、心に響くものだっけ?どうしてこどもの声って人の心に素直に響くのだろう…。不思議だなぁ。  
  
自分の中で新たな発見・疑問ができたからには追求したい。これからもたくさんのこども達と触れ合い、たくさんの“表情”と向き合い、そしてたくさんの“声”と出会っていきたいと思います。

第4回目
(2004年02月12日更新)

むらたきょうこ

はじめの第一歩。

「僕は、楽器を習ってないし、音楽は苦手だし、いつもはまったく興味がありません。でも、このワークショップはおもろしろそうだから来てみた。」
11月のハイパースコアのワークショップに参加したある男の子が自己紹介のとき言った言葉です。

なんだかとても染みました。

トライする前にそれは無理、とあきらめてしまったり、時間がないから、と目をつむったり・・・自分と趣味や興味を持つものが違う人には、壁をつくってしまったり・・・おもしろいかもしれないのに・・・・もったいないっ!

だから、ここに来るこどもたちには、CAMPを通して、一緒に過ごす友達を通して、やっぱり苦手かもしれない、でも案外おもしろいかもしれないいろんな世界をちょっとのぞいて見て、いろんなことを感じて「楽」習していってほしいと思います。そして、そこからはじまる第一歩が二歩目へつながるように、より楽しくおもしろくなるようにファシリテートしていけたら、と思います。

第3回目
(2004年01月08日更新)

もりひでき

こどもには、かなわない。

ワークショップでこどもたちを見ていると、いつも感じます。好奇心や集中力、そして何かを学び取ろうとする力。こどもたちが、生まれながらに持っている本当にすばらしい能力です。ワークショップの中では、いろいろなことが起きています。

「どうしてそんなの見つけられたの?」と、大人の私たちにはできないような発見をしたり。「・・・?」と、びっくりするようなことにこだわりを持ったり。うれしそうに「見てみて!」といいながらつくったものをお互いに見せあったり、一緒に遊んでみたり。(何かちょっといい「モノ」ができると無性に見せたくなるのは不思議です。)「すごい!」と思ったことは、大きな声に出して感心してみたり。「おもしろい!」と思ったことには、思いっきり笑ってみたり。そんな「いいアイデア」を横目で眺めながら、こそっとまねしてみたり。こどもたちって、本当にすごいです。悔しいですが、ちょっと自分には真似できないことばかり。(ワークショップの時は、意地を張って無理してみますが。)

自分でも気づかぬうちに、大人未満の存在として「こども」を見てしまいがちです。もちろん、大人と比べると未発達なこどもを、守り育てていくのは私たち大人の責務だと思います。でも実は、こどものほうが「すごい」こともたくさんあることを、日々感じます。

2003年