コラム

コラム

boy メッセージ to CAMP for CAMP from CAMP girl

CAMPの活動に協力してくださる方や、スタッフ・関係者からのメッセージを紹介します。

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第26回目
(2005年12月16日更新)

西岡貞一/筑波大学図書館情報メディア研究科 客員教授

11月の4日間、筑波大学ではこどもたちに表現する楽しさや、アイデアをまとめ上げる面白さを味わってもらおうというねらいでワークショップを開催しました。CAMPと牛久市立中央図書館にご協力をいただき50人以上のこどもたちと10数人の大学生と図書館スタッフがクリケットワークショップに参加しました。

色とりどりの小物とクリケット、そして本がいっぱいの空間からは次々とひらめきが生まれました。一つのモーターで動いているとは思えない巧みな動作を繰り返したり、ストローや布の切れ端が綺麗な羽根飾りにかわったり。本当に驚きの連続でした。

いつものCAMPワークショップと同じくらい会場はものを作る楽しさでいっぱい、参加者の中から将来もの作りと関わる子供達がでてくるかもしれません。
10年後、展覧会場や試写会で「昔クリケットやったよ」とか「君もCAMP」といった会話が交わされる予感がします。

ワークショップ開催のもう一つのねらいは学生達にチームでゴールすることの醍醐味と難しさを味わってもらうことでした。こどもたちの思いがけない行動、予定通とはかぎらない進行の中で戸惑いながらも真剣にファシリテーターを務めてくれました。

「アイデアを生み出し、それを具体的に実現する」だけでも大変なことなのに、それを人にやってもらう、しかも同時にたくさんのこどもたちに。普段は自分一人で行動することの多い学生達にとっては新鮮な体験でした。

おかげさまで、図書館でのワークショップを続けていく手がかりをつかむことができました。計画から開催まで半年、オープンでハッピーなCAMPのみなさんには本当にお世話になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

西岡貞一(にしおかていいち)
凸版印刷株式会社でCG、インターネットなどデジタルメディアの研究に関わる。
バーチャルリアリティを使ったミュージアムの展示などをてがける。「作ってわかる、使ってわかる」をモットーにたくさんの失敗作を生み出してきた。
2001年より筑波大学図書館情報メディア研究科客員教授。

第25回目
(2005年11月09日更新)

森 秀樹/株式会社CSKホールディングス 社会貢献推進室 大川センター

「ワークショップをつくることを通じて、ワークショップを学ぶ」

立上げからCAMPに関わりはじめて、早いもので5年が経ちました。この間本当に多くの方々と一緒にワークショップについて考え、小中学生を中心に、幼稚園児から高校生、大学生、大学院生に社会人、学校の先生方まで幅広い年代を対象にワークショップを実施する機会に恵まれました。

CAMPでのワークショップは、表現活動をテーマにしています。ワークショップのなかで表現活動に、ものづくりに取組むこどもたちはもちろん、ワークショップをつくることを通じて、私たちスタッフも多くのことを学んでいることを実感します。時には、こどもたちより自分たちのほうが、ワークショップを通じて多くを学んでいるのではないかと思うことすらあります。

CAMPと、その活動であるワークショップをつくることを通じて、自分なりにワークショップについて学んできた5年間であったように思えます。何かをつくりだす経験のなかでこそ、私たちは多くのことを学ぶことができることを経験できた5年間でもありました。

現在、新しく「学びとワークショップ」をテーマとしたプロジェクトの立上げに関わっています。このプロジェクトをつくることを通じて、どんなことを自分なりに学ぶことができるか、楽しみです。

森 秀樹(もりひでき)
慶應義塾大学環境情報学部卒。(株)セガ入社。エデュテイメントソフトウェアの企画開発を担当。米国マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ客員研究員を経て2001年より(株)CSK(現(株)CSKホールディングス)でCAMPを担当。甲南女子大学非常勤講師、関西学院大学非常勤講師を兼務。

第24回目
(2005年10月06日更新)

市橋 ゆき/アーティスト

再会の歓び

8月に行われたサマーハウスワークショップに参加しました。私にとって、久しぶりのワークショップ。久しぶりの、日本のこどもたち。昨年の10月にイタリアへ渡った私は、夏の短い帰国と、ワークショップをとても楽しみにして
受付が始まり目に飛び込んできたのは、知っているこどもたち。明るい笑顔が、息を弾ませながら走ってきます。「こんにちは」と、挨拶。また会えたことが嬉しくて、再会の歓びを感じる一瞬。こどもたちの、興味を抱いている事や、話し方の変化は、時間の流れを感じさせました。
流れる時間の中で、お互いを取り巻く環境が変化しても再会できたことが、奇跡のように貴重なものに思えます。再会はお互いが元気な印。長い時間をかけ一人の成長を見るということが、どれほど幸せで愉しく、嬉しいことなのだろうと感じた夏のワークショップでした。

長い時間とは別に、1日ごと、時間ごとに、変化する姿を見ることもありました。前日と次の日の取り組み方の違い、朝と夕方とで変化する作業の細かさ。
急に手先が器用になったわけではなくて、工夫や、気持ちの持ちようで、次々に多くのことができるようになる姿。日々、わずかの時間でも、こどもたちの内側から引き出されるものの多さに驚きます。うまくいかないときは、泣きそうになりながら、それでも家をつくりあげたこどもたちが、とても大きな人に映りました。

市橋 ゆき(いちはし ゆき)
2001年3月から2004年10月まで、CAMPのファシリテーターとして、CAMPワークショップの企画、運営に携わりました。2004年11月より、イタリア国立美術学院に留学。絵画の制作に励む日々です。1995年より絵画作品の発表を開始し現在に至りますが、今後も、こどもとアート、こどもと文化について、引き続き考えていきたいと思います。

第23回目
(2005年09月12日更新)

荒木貴之/立命館小学校 教頭

私はプログラミング経験者ですが、こどもでも簡単に単純な動きができるよう工夫されているシステムだと思いました。PCをさわっていて、自分の書いたものが、実際の動きとなったときのこどもの顔が、とても生き生きとしていて良かったです」

クリケットを使って「おばけロボット」をつくった、ある低学年児童の保護者からの感想です。

7月31日と8月1日の2日間、CAMPにご協力いただき、来年開校する立命館小学校への入学を希望する幼児、児童を対象として「立命館小学校プレスクール」を開催しました。立命館小学校では、将来、国際社会の中で活躍するリーダーを育成することをミッションに、さまざまな特色ある教育を実践していく予定ですが、その中でも、論理性や創造性、倫理観などを身に付けるために、ロボットに関するカリキュラムを1年生から6年生まで系統的に実施します。校舎内には「ロボットの部屋」を設け、児童は納得のゆくまでロボット制作に取り組むことができます。そのような教育環境の中で、制作したロボットを制御するコンピュータとして、クリケットを導入したいと私たちは考えています。
今回のプレスクールは、CAMPスタッフの皆さんにとっても、もちろん私たち小学校教員にとっても、未就学の幼児を対象としたクリケットを使ったロボット制作は初めての試みでした。しかし、事前申し込みは定員を大幅に超え、ロボットについてのこどもたちの関心と期待の高さを実感しました。
2ヶ月間にわたる準備の中で、私たち教員も大川センターで開催されるクリケット・ワークショップへファシリテーターとして参加させていただいたり、ワークショップの雰囲気をそのまま再現するために、机・いすから時計にいたるまで大学の校舎へ搬入していただいたりと、ソフト・ハードの両面からCAMPの全面的な支援をいただきました。結果は、冒頭の通り、大成功。参加したこどもたちも、参観した保護者も、そして私たちスタッフも笑顔がいっぱいで、大満足のプレスクールとなりました。

今回のプレスクールをきっかけに、CAMPとの共同研究を進め、「理科嫌い・理科離れ」の解決につながるプログラムを開発していきたいと考えています。
もちろん、立命館小学校だからできる、CAMPだからできる、というものではなく、ちょっとした工夫で、どの学校でもできる、そんなプログラムを開発したいと思っています。

荒木貴之(あらき たかゆき)
東京都公立中学校理科教諭から、東京都北区教育委員会及び東京都教育庁指導
主事に。文部科学省「理科大好きスクール」「サイエンス・パートナーシップ
・プログラム(SPP)」などのコーディネーターとして理科・科学教育の振
興に取り組む。現在、立命館大学立命館小学校設置準備室室長補佐。
http://www.ritsumei.ac.jp/primary/

第22回目
(2005年08月09日更新)

彦田 美香子/株式会社グローバル・シフト・コミュニケーション

ふれあい

2005年3月。
一通のメールが、CAMPとの「ふれあい」のきっかけでした。

・・・新たなメンバーも加わり、新たな出発へ向けてCAMPプロジェクトメンバー全員で思いを共有したい・・・
私の新たな「ふれあい」が、ここから始まりました。
今回はその"思いの共有"を実現するお手伝い役として、かかわらせていただきました。

そんな中、CAMPではたくさんの「ふれあい」を発見することができました。
自然とのふれあい
社会とのふれあい
人とのふれあい

少し小高く広い丘の上にある、リゾートホテルのような建物。太陽の光燦々と注ぎ込む、キラキラと光った大きな窓。窓の外には、たくさんの水をたたえた大きな池と、桜の木。そして、庭のはずれにある鐘。5人のこども達が一斉に走れるくらいの、広くて長い廊下。体育館のような大きな部屋。
そんな豊かな環境の大川センターは、自然との調和を保ちながら自然とのふれあいを楽しんでいるかのようでした。

これからの未来を担うこどもたちが、自由にのびのびと想像や創造と出会い、ふれあう。
たくさんの知恵を創り出すこども達をサポートする、そんな役割をCAMPは担っているのだと思います。

そして、そこでこども達とふれあうCAMPメンバー。
純真なこどもの気持ちを大きな心で受けとめながら、こども達のたくさんの可能性を引き出していました。
きっとそこで知り合ったこども達は、人と人との「ふれあい」の大切さを肌で感じることができるでしょう。
人やモノ、自然や社会との「ふれあい」の大切さをCAMPメンバーはこども達1人1人へ伝えているのだと実感しました。

その大切な役割を担うために、まずCAMPメンバー同士がふれあい、そして思いを共有していく・・・

人々が生きていくための「ふれあい」の大切さを、CAMPの皆さんに教えていただきました。
とてもステキな時間を、皆さんと過ごすことができました。感謝です。

彦田 美香子(ひこだ みかこ)
コミュニケーションプロデューサー&プロセスファシリテーター。人、そして組織の「かかわり」を大切にしたコミュニケーション(対話)に関わるファシリテーション、研修、コンサルティング活動を行う企業を設立。『おもてなしの心』(エンターテイメント)を常に忘れずに"コミュニケーション・エンターテーナー"として、"感動するコミュニケーションづくり"のサポートを行う。

㈱グローバル・シフト・コミュニケーション  http://www.gshift.com

第21回目
(2005年07月07日更新)

石戸奈々子/NPO法人CANVAS副理事長

イマジン&リアライズ。
私の好きな言葉です。

CAMPのコラボレイターであるMITメディアラボから教えてもらいました。
「想像」して「創造」する。
今までにない表現様式や新しいコミュニケーションを生み出す「道具」をつくりたい。
それが私の夢でした。
そんなときに出会ったのがCAMPです。
桜の木に囲まれた広大な敷地にたたずむガラス張りの建物。
外からの日差しに照らされ、色とりどりの魅力的なオモチャが輝く作業スペース。
そして数々のクリエイティブなワークショップ。
理想的な遊びの空間、創造の源泉がそこにありました。
その後、ヨーロッパ、アメリカを中心としたチルドレンミュージアムも見てまわりました。
そうか、想像して創造するには、場と道具の両方が必要なのだ。
そうか、これからの新しい社会、未来を、想像して創造するのは
こどもたちの世代なのだ。
そう感じました。
CAMPに触発されて、CANVASというNPOをたちあげました。
CANVASは、こどもたちの創造力・表現力のプラットフォームです。
CAMPのような素晴らしい活動が全国各地に広がって欲しい。
できるだけ多くのこどもたちにクリエイティブな環境に触れて欲しい。
そのための「場づくり」です。
想像する心と創造する力。
CAMPは両方を培ってくれるのだと思います。

石戸奈々子(いしど ななこ)
東京大学卒業後、渡米し、MITメディアラボ客員研究員に。スタンフォード日本センターのプロジェクトコーディネイターを兼職。その間、こどもの創造力・表現力をはぐくむNPO法人「CANVAS」を創設し、現在、CANVAS理事兼事務局長。総務省・経済産業研究所などのポップカルチャー研究プロジェクトにも参加。

http://www.canvas.ws/

第20回目
(2005年06月07日更新)

寺山 直哉/大阪電気通信大学 デジタルアート・アニメーション学科 助教授

5月7日、CAMPでのCMづくりワークショップ

ちょきちょき、ぺたぺた、こねこね、ああでもない、こうでもない、、、
こどもたちは色々やっていました。そこで僕らは、こどもたちに「大丈夫、こわがらないで。どんどんやってみよう!ほら、これをこうやったら?」とか言ったりして。

しかしこどもたちはそんな僕たち大人の心配や思い込みとは全く別次元で、どんどん様々なアイディアを出し、次々と実行してゆくのでした。う~ん、正に恐るべきこどもたち。ワークショップを終えた後の感想でスタッフの1人が言いました「自分たちが無くしてしまった何かをこどもたちに感じました」、確かに。ただ、本当にそうなのか?本当に僕達は、その何かを無くしてしまったのか?

ちょきちょき、ぺたぺた、こねこね、ああでもない、こうでもない、、、
大人たちも色々やってきました。僕たち大人はこどもたちよりもほんの少し長い時間を生きる間に様々なものを身につけてはきましたが、手放せずにいるのではないでしょうか。相対的な時間に対する感覚を少しでも変えて感じてみると、「こども」も「大人」もそんなに大差ないんじゃないかって思えませんか?
知識や経験等に関する様々な恐れを手放すことで、大人である僕たち自身もずっと「恐るべきこどもたち」で居続けられるのではないでしょうか。それは言わば、真の自分自身を取り戻すことだと思います。

CAMPでのこどもとの時間は、誰でも、いつだってこどものようなまっさらな気持になれるということを思い出させてくれました。
どんどん手放して、軽くなって、楽になって、いくらでも変わってゆける。

ワークショップって何でしょう?
それは、Not how to say,but how to do!

(株)CSKの創業者、大川功氏の理念の中にある「真の豊かさ」とは。それは、既に自分の中に全てが揃っているのだと知ることではないでしょうか。
CAMPでのワークショップは、いつでも、どこでも、だれとでも、なんでもできると思える心を育む場所だと思います。そしてそれぞれの人生を幸せにするためのhow to doでもあると。だから「世界平和」が訪れるんですね、大川さん!

心ひとつの置きどころ。。。

いつも素晴らしい場を、ありがとうございます。

寺山直哉(てらやま なおや)
京都市立芸術大学 大学院を修了後、CGプロダクションにディレクターとして勤務、主にCMやゲーム、展示映像等のアニメーション制作を手掛ける。2002年より大阪電気通信大学 総合情報学部 メディア情報文化学科(2006年度よりデジタルアート・アニメーション学科に名称変更)教員となり、同大学内先端マルチメディア合同研究所:JIAMS(ジェイムス)の運営主任を勤める。http://www.ddaa.jp/

第19回目
(2005年05月09日更新)

仲村 功/那覇市教育委員会

こんにちは、那覇市教育委員会 生涯学習課の仲村 功です。

那覇市では「子どもの好奇心、想像力、創造力を育てる子どものための事業」を、地域力を活用した「那覇こどものためのデザイン~まちがまるごとミュージアム構想~」として展開するために、市民と協働で基本構想づくりに取り組みました。

構想づくりのため、今年1月に東京で開催された「ワークショップコレクション2005」を視察した際、クリケットワークショップと出会いました。
その時のこどもたちの目の輝きと、一生懸命さに感銘を受け、『これだ!私が求めていた構想のモデルとなる事業は!!』というわけで、那覇市でのクリケットワークショップ実施へ向けての調整が始まり、年度末も押し迫った3月25,26日の両日、CAMPの全面的な協力の下、実施と相成りました。

両日とも午前中はファシリテーター養成研修、午後にこどもワークショップ実
施のスケジュールで進めましたが、初日に予定していた子どもたちが時間通りに集まらず、スタッフおよび関係者をヤキモキさせてしまいました。
結局、初日は30分遅れのワークショップ開催となりましたが、さすがCAMP
のワークショップ、いざ始まればこどもたちは夢中になり目は輝き、やんちゃ
なこもプログラムや作品づくりに集中している姿が印象的で、その作品の独創性にも感心させられました。
作品づくりに取り組んでいる時のこどもたちの真剣な眼差し、作品が完成した時の満足げな顔、今の私自身を含む大人たちが忘れかけている何かがそこに・・

次代を担うこどもたちの好奇心、創造力、表現力を育むCAMPの活動に大きな期待を寄せると共に、こどもの視点に立ったこどものための社会づくりに取り組んでいかなければならないと思う今日この頃です。

仲村 功(なかむらいさお)
那覇市教育委員会 生涯学習部生涯学習課 勤務。平成16年度より「那覇こどものためのデザイン事業(那覇市チルドレンズ・ミュージアム)」を担当。
趣味はカメラ、オーディオ、釣りなど多数。

第18回目
(2005年04月13日更新)

向田順子/デザイナー

こんにちは、CAMPのコウタです。
春!ですね。
CAMPは今年で5年目の春を迎えました。
同時に私もCAMPで過ごす5度目の春です。

長距離を全速力で走り続けてきたような、4年の歳月。少しここらでスピードをおとして、いろいろなことを見つめなおしてみよう・・・・
そうだ!それには遠い国に出かけよう!(考え方が極端です・・・)ということで、先日まで1ヶ月半ほど、イギリスとイタリアに出かけていました。

イギリス、イタリアには、それぞれすばらしいミュージアムやギャラリーがあり、こどもや家族を対象としたワークショップやアクティビティ
があります。毎日足を棒にしながら見に行きました。

イタリアのフィレンツェで、小さな企画展をしていました。テーマは「京都とフィレンツェのこどもたちの絵画展」。イタリアと日本、それぞれのこどもたちが描いた絵の展覧会です。各国同じ年代のこどもが描いた絵ですが、風土や文化の違いからでしょうか、やはり違いがあります。

イタリアのこどもたちの色彩は豊かで鮮やかです。比べて、日本のこどもたちの色彩は、にごった色が多い。また、絵のタッチや雰囲気など、どことなく違いがあるように思いました。どちらがいいとか悪いとかではなく、お互いに違うからこそ見比べて面白いのです。

そして、それぞれの絵をもっと細かく見ていくと、それぞれのこどもの個性が見えてきます。

CAMPのワークショップでは、それぞれのこどもたちが自分の力に気づいたり、力を発揮することを大切にしています。と同時に、他人のことを見たり、意見を聞いたりすることも大切に思っています。

「個性を伸ばす」ことは、一歩間違うと自己を押し通し、他人の意見を聞かなくなることにつながります。でも、本当の「個性を伸ばす」ということは、それぞれの持ち味を生かしながら、他人のよさを認めることによって、より自分の幅を広げることであったり、楽しみ、喜びが増していくことではないでしょうか。

この絵画展を見ることで、日本と、日本人である自分、またそれ以前に1人の人間である自分を見つめなおしました。そして、改めてCAMPがこれまで歩んできた道、これから歩もうとしている道を確認し、CAMPに帰ってきました。

遠く旅に出ていても、考えるきっかけをくれたのは、こどもたちでした。5年目のCAMPも、たくさんのこどもたちといっしょに輝けますように!!

【向田順子(こうたじゅんこ)】
前職はおもちゃデザイナー、そして岡山にある現代玩具博物館の職員。
CAMPのロゴデザインをきっかけに、2001年2月よりCAMPグラフィックデザイナー、CAMPファシリテーター、CAMPワークショップデザイナーとして勤務しています。今後はCAMPの活動に携わる傍ら、「親子、家族」をテーマにしたワークショップを考え、実施していきます。

第17回目
(2005年03月16日更新)

市橋ゆき/アーティスト

初めてCAMPを訪れた、ある春の朝。まだ、新しい建物のにおいの残る静かな空間、少ないスタッフ、大きなガラス、ガラス越しに見える春の庭。春の光が美しくて、その日1日が楽しい日になりそうだと、胸が高鳴ったことを覚えています。この日以来、CAMPでファシリテーターをする機会に恵まれたこと、ワークショップを通し、多くのこどもたちと出会い、そして、日々成長していく様子をみることができたことは、とても大きな喜びです。CAMPでは、ワークショップという短い時間を何回も重ねながら、こどもたちの成長する様子を見守ることができました。
  
中学生になったこどもたちが久しぶりにワークショップに来た時のこと。外見も内側も成長した姿に驚かされるのと同時に、小学校4、5年生の頃と変わらないあかるい笑顔や、この世界を見る期待のこもった目が、変わらず生き生きとしていることを確認し、とても嬉しくなりました。こどもたちの言葉、ワークショップの時に見せてくれたあかるい表情、観察する目、様々なことを不思議に思う気持ち。それから自らワークショップをつくっていこう、楽しいものにしていこうとする姿勢などを見るたび、これからどんな人に成長していくのか、どのようにして、この世界を飛んでいくのかを想い、豊かな人生を切り開いていくこどもたちの姿がいつも目に浮かびました。
  
CAMPでこどもたちと過ごした時間やこどもたちの言葉を思い出す時、同じ場所で、同じ言葉を聞きながらファシリテーターをしていた私もまた、CAMPを通過していったこどもたちのうちの一人だったのだなぁ・・・と、思うのです。CAMPを通過するということは、背中に、目に見えない羽が生えるということ。期待のこもった目でこの世界を見、自ら人生をつくっていこう、楽しいものにしていこうとする、背中に羽の生えたこどもたちが、これからも多く産まれますように。

【市橋ゆき(いちはしゆき)】
2001年3月から2004年10月まで、CAMPのファシリテーターとして、CAMPワークショップの企画、運営に携わりました。2004年11月より、イタリア国立美術学院に留学。絵画の制作と研究に励む日々です。1995年より絵画作品の発表を開始し現在に至りますが、今後も、こどもとアート、こどもと文化について、引き続き考えていきたいと思います。

第16回目
(2005年02月15日更新)

上田信行/同志社女子大学 現代社会学部 現代こども学科 教授

CAMPはアートとテクノロジーを融合した先端的なワークショップができる世界でも数少ないチルドレンズ・ミュージアムだと思います。CAMPを訪れた人は感じると思いますが、ここに来るとこどもも大人も、ワクワク、ドキドキして「モノづくり」に夢中になってしまいます。CAMPで行われている魅力的なワークショップが、プレイフルで、創造的で、協同的な空気感を生みだしているのでしょう。
  
僕は3年前に「Fostering Creativity」というプロジェクトで北イタリアのレッジョ・エミリアにある幼児学校を訪れました。ここで行われているプロジェッタチオーネ(progettazione)と呼ばれているプロジェクト活動を見たとき、「あ~、僕がイメージしていた学びの活動がすべてここにある」という衝撃を受けました。このレッジョ・エミリアと同じような驚きを、僕がCAMPで見た最初のワークショップでも感じました。アメリカ人のアーティストによる最初のクリケットワークショップだったのですが、今でもその時の「すごい!」と思った気持ちが鮮烈な記憶として残っています。
  
CAMPでは「学び、デザイン、テクノロジー」を相互浸透的に交差させながら、「こどもとワークショップ」の先端的実践研究を今年から本格的に始めるということを聞いています。CAMPがこどもの未来を拓いていく学びのエンジンとして、新しい学習環境デザイン研究の拠点になっていくことを楽しみにしています。CAMPは「希望のメディア」だから!

【上田信行(うえだ のぶゆき)】
1950年奈良県生まれ。同志社大学卒業後、セントラルミシガン大学大学院ハーバード大学教育大学院で学ぶ。ハーバード大学教育学博士(Ed.D.)。甲南女子大学教授をを経て、現在、同志社女子大学現代社会学部現代こども学科教授。専門は教育工学。学習環境デザインとメディア教育についての実践的研究を行っている。そのための実験的アトリエとして奈良県にneo Museumを作り、1990年以来、現在まで数多くの実験的ワークショプをデザインしている。

第15回目
(2005年01月07日更新)

橋本知子/株式会社文化総合研究所 チーフディレクター

私がはじめて大川センターのCAMPを訪ねたのは、2001年6月、まだオープンして間もないときのことでした。第一印象は「うらやましい!」。こんなに素敵な環境の中で、こどもたちと向き合いながらじっくりとワークショップを開発していけるとは、ここのスタッフはなんて恵まれているんだろう。建物や設備をめぐりながら、何度「うらやましい」とつぶやいたことでしょう。

でも残念なことに、そのときには実際のこども向けワークショップに接することはできませんでした。再びCAMPを訪れ、その機会を得ることができたのは3年後の2004年春のことでした。そしてまた、第一印象は「うらやましい!」。こんなに素敵な環境の中で、きちんとトレーニングされたスタッフに囲まれ、入念に組み立てられた『ワークショップ』を体験できるとは、参加しているこどもたちはなんて恵まれているんだろう。整えられた素材や道具をながめ、4時間のワークショップを拝見しながら、また何度も「うらやましい」とつぶやいていました。

スタッフにとっても参加するこどもたちにとっても恵まれた環境の中で、大切に育てられた『ワークショップ』。この内容もまた、とても恵まれた魅力的なものになっています。そんな『ワークショップ』を少しでも多くの方に届けたいと、今CAMPでは、その方法を模索しています。

ぜひ多くの方々に、私の感じた「うらやましい!」を、あこがれだけで終わらせてしまうことなく、実践して、参加して、「よかった!」という実感に変えて、受け取っていただけることを願っています。

【橋本知子(はしもと ともこ)】
ミュージアムなど文化施設の運営や、施設・展示計画の調査研究を行っている株式会社文化総合研究所のチーフディレクター。特に子どもとミュージアムとの関係に興味を持ち、ミュージアムでの教育普及活動や海外の「チルドレンズ・ミュージアム」に関する調査研究をすすめている。最近では、『ワークショップ』の持つ奥深い魅力に惹かれ、ワークショッププログラムの開発やコーディネートも行っている。今年度よりCAMPワークショップの普及コーディネートにも関わる。

2004年

2003年

boy ファシリテーターリレーコラム girl

CAMPで活動するファシリテーターが、ワークショップへの想いを語ります。

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

第81回目
(2010年11月26日更新)

くまがい まりな

初めてのCAMP。

こどもたちの反応はどうかな?
楽しんでもらえるかな?

当日まで不安でいっぱいだった。

でもそんな不安を吹き飛ばしてくる笑顔がそこにはあった。

一生懸命周りが見えないくらいものづくりに励む子。

自分の作品を得意気に見せてくれる子。

控えめだけどとても目立つ作品をつくっている子。

十人十色とはこのことを言うのだろう。
大人になるとなかなか個性が発揮できる場所は少なくなってくるのだとそのとき改めて感じた。

たくさんの個性がぶつかり合い、さらに新しいアイディアが生まれる。
見ていて飽きることがない。

「もう終わり?」「もっとやりたかった!」
「またやりたい!」「こんな仕事につきたい!」

今度どこかでまた逢うことができるかな?
もう一生逢うことはないかもしれない。

CAMPはそんな一期一会の出逢いの場でもある。

いずれにしても、これからのこどもたちの成長が楽しみだ。
その個性を忘れることなく、“おとな”になって欲しい。

第80回目
(2010年09月09日更新)

さわだ りみ

CAMP萌えポイント

・「プール、6級から4級に上がったんだよ!」と唐突に自慢された瞬間

・一緒に参加した親御さんに「負けるもんか」とつぶやいた瞬間

・「ボクわかるよ!」と言って、知識を総動員して説明をしてくれた瞬間

・どうしても部品がくっつかなくて、相談にきた瞬間

・相談に答えた後、「ありがとう」と走り出すタイミングが同じ瞬間

・お母さんに一生懸命作品を説明している瞬間

・お父さんが熱心に発表の様子を写真に撮っている瞬間

・手を挙げてから質問を考えている瞬間

・難しい質問にすらすらと回答する瞬間

・さっきまで威勢がよかったのに発表になった途端に声が小さくなる瞬間

・黙々と手を動かしていたのにまるでアナウンサーのように発表を始めた瞬間

・ただのペンギンではなく、温暖化をテーマにしていたことが分かった瞬間

・なかなか自分の意見を言えなかった子の感想を読んだ瞬間

・感想の画用紙にCAMPのロゴを細かく書いているのを見つけた瞬間

・また、会えた瞬間

第79回目
(2010年08月19日更新)

あしだ はじめ

「40年近く前の事です。京都府南部のとある町に住んでいた僕は絵を描くことや、工作や粘土の好きなこどもでした。そういう僕を見て両親は近くに住む絵の先生と書道の先生のもとに通わせてくれました。

先生方は僕たちに色々なことを体験させてくださいました。

絵の先生の専門はモザイク壁画でしたが、絵のことを始め、昔ながらの工作や写生がてらに野遊び、落語や音楽を聞いて絵を描く時もありました。

書道の先生は字を書く練習以外に、近所の碑の拓本(たくほん・墨と紙で石の表面の文字を写しとること)や篆刻(てんこく・石を彫ってはんこをつくること)などをさせてもらいました。

見て、感じる。そして考えて、手を動かして、何かを発見する。今から思うと、まさしくワークショップでした。

それから時が過ぎた今、僕は工場で働く機械の設計や中学校の技術科の教材をつくる事を仕事にしています。そういう日々の中で、自分がこどもだった頃のどきどきわくわくした気持ちを今のこどもたちに感じてもらえることができないかと思っていたところ、CAMPの事を知り、昨年からお手伝いさせてもらっています。

ワークショップにはたくさんのこどもたちが来てくれます。こどもたちがCAMPで過ごした事をずっと覚えてくれていたり、ここでの体験が将来何かの役に立ったりすれば本当に嬉しいことです。

第78回目
(2010年06月01日更新)

いけだ なみこ

ワークショップでは、“その日、一緒にいるからできたこと”
を大切にしたい。

思ったことを言って、
受け入れてもらえることばっかりではないけど。

「ここは自分が考えた!おすすめ!」
そんなポイントが、それぞれうまれる。
グループのメンバーも
「ここは○○くんが考えてん」
「○○ちゃんのアイディア」
とか、説明してくれる。
しかも、とっても自慢げに。

山あり谷ありの4時間のワークショップを終えて、
帰りに手をつないでいる2人。

「また来るねー」
「あれ?2人一緒に来てたっけ?」
「来てないよ」
「そうか」

お母さん同士もちょっと顔を見合わせて、嬉しそうにしています。

ファシリテーターは、その姿を見てにんまり。

その日一緒にいるからできたワークショップ。
一緒に時間を過ごした仲間にいつもいつも感謝です。

第77回目
(2010年03月08日更新)

ますだ たみ

手をつかって作品をつくることは
人と人をつなぐのだな、と
いつもワークショップの時に感じます。

初めて出会ったこどもたちが作品を制作する過程で
言葉を交わし、手を動かし、
素材の組み合わせによって
目に見えるかたちができあがっていくことが助けになり
コミュニケーションが深まっていくのがわかります。

制作時間がスタートすると、みんなの様子はさまざま。

お気に入りの素材をかき集めてくる。
プログラム作りに没頭する。
指示をする女の子とそのとおりに働く健気な男の子。
笑いっぱなしの男の子グループ。
おだやかな空気の女の子グループ。
シャイなこども同士のグループ。

「あと◯分だよ~」
無情に残りの制作時間をつげるチーフの声に
慌ただしく作業はクライマックスを迎え。。。

自信作もあれば、未完成作品もあり、失敗作もある。
おとながこどもを評価することのないCAMPワークショップの世界では、
こどもたちは自信をもって、
「ぼくたちはこんなのつくりました」と言える。

ゴールは、
作品の出来栄えじゃない。

今日のワークショップ、
みんなが満足のいく時間がすごせたかな?がすべてなんだ。

第76回目
(2010年02月05日更新)

こうむら つよし

こどもたちは、パワーで満ちあふれている。
こどもたちの表情、こどもたちの声、こどもたちの心。

それに向き合い、応える姿勢でいることは大変なこと。
でも、終わった後はすがすがしい気分。

そして、何だか喜ばしい気持ちに。

ワークショップに参加するとそう思う。

ひとりひとりの性格もさまざま。
そこには自分たちの世界観があり、それが作品として発信される。

「見る」「聞く」「仲間と話す」といったことを素直に受け止める力。
その素直な感性が、先入観や決めつけもなく、ダイレクトに、そして
すごいスピードで何かを吸収しているのだろう。

それを見ていると、自分は何かを感じることを狭めていないかと
考えさせられたりもする。

その感性をこどもたちに存分に発揮してもらい、
「何を作るか考えることが楽しい」
「作ることが面白い」
「発表でみんなに興味を持ってもらえる嬉しい」
といった感情をこどもたちと共有させてもらえることが、
ワークショップでの喜びなのかもしれない。

第75回目
(2010年01月06日更新)

ろくた まさや

「こどもたちの笑顔は、この星の未来だ」
(日清食品 キャッチコピーより)

こどもたちは本当に素直です。
素直な感情をそのまま表現します。

豊かすぎる感情に、困ることも多々あります。
どうしてよいかわからないことがあることも事実です。

こどもたちは、ものづくりの難しさから、
悩み込みつらそうな表情を見せることがあります。
グループワークで仲間とうまくいかず、泣き出すときもあります。

CAMPも楽しいことばかりではありません。

しかし、そのつらいことを乗り越えたとき、
最後に作品ができたとき、会場をでていくとき、
こどもたちは本当に、最高の笑顔を見せてくれます。

この、最高の笑顔が見たくて、私はまた、CAMPに行ってしまいます。

私は、ボランティアに行っているのではありません。
こどもたちと一緒に笑い、楽しみ、悩み、考え、何かをつくる。
そんな、笑顔でいられるひとときを過ごしに行っています。

こどもたちの最高の笑顔を見たとき、
私はきっと、こどもたちに負けないくらいの最高の笑顔をしているはずです。

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