メッセージ to CAMP for CAMP from CAMP
CAMPの活動に協力してくださる方や、スタッフ・関係者からのメッセージを紹介します。
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第38回目
(2006年12月12日更新)
石川敬子/株式会社CSKホールディングス 社会貢献推進室 CAMP普及担当
伝える。ということ
CAMPのワークショップは、大川センターで生まれて、育って、そして全国のあちこちへと巣立っていきます。
その旅立ちの手助けをするのが、CAMP普及チームのお仕事。美人3姉妹の普及チーム、誰がつけたかその名も『チャーリーズエンジェル』。
チャーリーからの極秘指令で、エンジェルたちは世界のどこでもひとっ飛び!!
こうしてワークショップはどんどん広がっていきます・・・。
(※一部フィクションです)
さて、私もそのメンバーの1人なのですが、じつは「ワークショップを伝える」ということについて、ずっとずっと考えています。もしかしたら「悩んでいる」という表現の方が近いかもしれません。ワークショップを伝える、そしてファシリテーターを育成する立場でもある人間が未だに悩んでいるなんて、不安にさせてしまいますね。
でも、心の中でいつも自問しています。「ワークショップって何だろう?」
多面的で、弾力性があって、そこに何かがあって・・・。
イメージが浮かんだり消えたりしながら、ひとつに固まりそうになってはまた歪んでいく。そんなことのくり返しです。
言葉にするほどに、文字に置き換えるほどに、遠のいていく気さえするたくさんのイメージの断片。『鏡花水月』のごとく、それはただ心に感知するしかない物事なのかもしれません。
言葉では伝えきれないものもある。
けれども私はこれからも言葉を探していきたいと思います。
イメージの断片をつなぎ、想いを伝えていきたいと思います。
石川敬子(いしかわたかこ)
株式会社CSKホールディングス 社会貢献推進室 CAMP普及担当
山一證券を経てCSK(当時)入社。2001年にCAMPと出会い、3年越しの
恋を実らせ2004年より現職。CAMPの広報物を制作するとともに、ファシリ
テーターとして全国を巡る。満月友の会会長、B級映画の会理事。
第37回目
(2006年11月07日更新)
鈴木佳苗/筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 助教授
図書館でのワークショップ開催
こどもたちに身近な地域の図書館で、こどもたちが楽しく創造的体験ができるワークショップを開催したいと考え、CAMPのみなさん、牛久市立中央図書館のみなさんのご協力を得て、2005年11月に牛久市立中央図書館での「CAMPクリケットワークショップ」の開催が実現しました。このクリケットワーク
ショップに続き、2006年8月には、同じく牛久市立中央図書館にて「CAMPデジカみしばいワークショップ」を開催しました。CAMPのみなさん、牛久市立中央図書館のみなさんには大変お世話になり、ありがとうございました。
クリケットワークショップでも、デジカみしばいワークショップでも、こどもたちは仲間とコミュニケーションをとりながら、1つの作品を創りあげていきました。どちらのワークショップも参加者のこどもたちに大変好評で、作ること自体が楽しかった、協力してできてよかった、いい作品ができたと思うといった感想や、「また来たい」という声が寄せられました。ワークショップの参加を通して、こどもたちが創造的な活動自体の楽しさや仲間とコミュニケーションをとりながら1つのものを作り上げる楽しさを体験することは、その後のこどもたちの日常生活に楽しい変化をもたらしてくれるということがあるかもしれません。こどもたちが創造的な活動に興味関心をもつきっかけとして、ワークショップには大きな可能性があると期待しています。
また、こどもたちが継続して楽しく創造的な体験ができる環境として、地域の図書館にも大きな可能性を感じています。図書館は、こどもたちが定期的に通っている場所です。また、図書館にはワークショップを開催できるスペース(視聴覚室、会議室など)があり、こどもたちと日頃から接している図書館員さんがいます。牛久市立中央図書館でのワークショップでは、隣り合う視聴覚室と自習室をつなげ、図書館員さんと筑波大学の学生がファシリテーター(こどもたちの活動をサポートする役割をもつ人)として参加しました。日頃から通い慣れている場所で、知っている図書館員さんがいるワークショップということで、こどもたちは比較的早い段階からリラックスして作品づくりを楽しむことができていたように感じました。
こどもたちの「また来たい」という声に応えることができるよう、これからも図書館でのワークショップの継続的な開催にかかわっていきたいと思います。
鈴木佳苗(すずきかなえ)
筑波大学大学院図書館情報メディア研究科助教授。博士(人文科学)
専門は社会情報学、教育・社会心理学、教育工学。
2005年よりCAMP、牛久市立中央図書館と連携し、公共図書館でのワークショップ開催を進めている。また、こどもと読書・メディア利用の影響、こどもたちの社会体験が社会性の発達に及ぼす影響などについての研究を行っている。
*2005年11月のクリケットワークショップ開催については、「メッセージ to
CAMP * for CAMP * from CAMP(第26回 西岡貞一)」をご覧ください。
http://www.camp-k.com/otona/home/column_collabo.php?id=26
第36回目
(2006年10月06日更新)
西尾美也/アーティスト
ふくのりゆう
とにかくいろんな服屋に出掛けていた中学生の時に、MASAKI MATSUSHIMAというショップで、「長いTシャツ」とでも言うようなデザインの服に出くわしました。服屋に出掛けるようになるまでの服にまつわる記憶は他にもたくさんありますが、これは服の概念自体を揺るがしてくれたものとして強く覚えています。「長いTシャツ」は文字通り、裾が長いTシャツでした。袖は通常の半袖であるため、必然的にワンピースと言い換えることもできます。しかし、そのデザインは明らかにTシャツであることもワンピースであることも意図しておらず、さらには男物であるか女物であるかという問題も超えていました。ちなみに私は男です。これまで私が繰り返してきた着る行為(他者の服装を「見る」ことも含めた行為)にはなかった経験であったために、その衝撃は非常に大きいものでした。多くの人にとっては単に女性用のワンピースかもしれませんが、なによりも当時の私にとって、それは着てみたい、着てもいい対象としてデザインされていたのです。その体験によって、生まれてからその当時までの約4500日間、毎日の着る行為が私にさまざまな制限を与えていたことに気付かされ、服をいろんな風に着てはもがいている、自分の理由を知りました。
人間は、生まれてすぐに布に包まれ、自分の意志なしに服を着せられます。その後、自分の顔と共に他人と面と向かうことになる服は、自分の一部でありながらも、さまざまに入れ替え可能であることに気づいてゆきます。そうして、毎日の服を着る行為の繰り返しは膨大な経験となって、「わたし」の構築に関わることになります。しかし実際には、「着方」という多くの制約から逸脱することはほとんどありません。私は幸い、上記のように「長いTシャツ」に出会うことができ、服による制約を見る視点を持つことができました。着ることに対する従来の枠を取り払い、変容させることで、制限された「わたし」を再構築すること、そしてその上で、今までにはなかった新しい対話法を見いだすこと。ワークショップや作品制作を通して、私はこれまでそんなことを考えてきました。生まれてから約8800日が経っています。
今回ワークショップの対象にしているのは、小学3年生~中学生です。
まさに着ることを通して自分を確立している真っ最中の年代と言えるかもしれません。着ることに対する意識はさまざまでしょう。しかし、着る経験は毎日誰もがしていることです。しつこいですが、小学3年生~中学生だと、生まれて約3000日~5000日といったところでしょうか。その毎日の「着る経験」と、今回ワークショップの材料として準備しているたくさんの「服」をさまざまに組み合わせたり、解体したり、再構築したりするような、いつもとは違った服との関わり方を通して、「服を着る自分だけの理由」を作ろうとするのが、この「ふくのりゆうワークショップ」です。
年代は違いますが、みんなが知っているこの共通の道具で、一緒に遊べることを今から楽しみにしています。
西尾美也(にしお よしなり)
1982年奈良県生まれ。茨城県在住。東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻在籍中。
衣服のコミュニケーション環境を「ファッションスケープ」と捉え、独自に設定した立場からワークショップやパフォーマンス、インスタレーションなどの形式で作品を発表している。
2002年より、奈良・大阪・東京・茨城などで個展やプロジェクトを多数行なう。
2006年1月、初の作品集『YOSHINARI NISHIO Fashionscape』(ファーブル芸術事務所)を出版。
10月から韓国で開催される第4回ソウル国際メディアアート・ビエンナーレ<media_city seoul 2006>に出品予定。
共同で運営するスタジオ「スタ6ジオ号」のHP→
http://www.gurugurumawaruhachi.net/stu6/stu6
※「ふくのりゆうワークショップ」は西尾美也氏とCAMPが共同開発中のワークショップです。2006年11月11日~12日、大川センターにて開催予定。
第35回目
(2006年09月07日更新)
坂本恵理/ダイビル株式会社
ひさしぶりの体験。
大人になると、緊張でドキドキすることは沢山あっても、嬉しくって楽しくってウキウキワクワクすることが、ずいぶんと減っていたことを実感・・・。
目をキラキラさせて、作品にこめた物語を話してくれるほんとに眩しく輝くこどもたち。小さなカメラ片手になにつくってるの?写真とってもいい?と聞けばその思いを夢中で話してくれた、発表ではモジモジしてしまうはずかしがり屋さん。
普段は、というかここ何年も"こどもたち"と接することがなかったので、ワークショップが始まる前は、こどもたちに打ち解けることができるか、打ち解けてもらえるか、距離を置いてしまわないか、ファシリテーターとしての役割を果たせるか等々、不安要素は山積みでした。しかしいざ始まってしまうと、自分でも驚くほど自然体でこどもたちや他のファシリテーターの方々と共にCAMPを楽しむことができました。
こどもを王様扱いしないこと。
ファシリテーター研修で教えていただいた様々な事の中でも私が実際に一番意識していた事です。物理的にも精神的にも視線を同じにすることで、こどもたちと同じ風景を見て、同じ気持ちを共有することができたように思います。時にこどもたちの言動にはっとし、時にこどもたちの背中をそっと押し、そしてこどもたちに学び、たくさんの感動をもらうことができました。
今回、CAMPの活動に参加し、こどもたちの未来を切り開くお手伝いの一端を担うことができたことを嬉しく思います。
・・・私の目はちゃんとキラキラしている?
坂本恵理(さかもと えり)
ダイビル株式会社 東京営業部 営業課
2006年4月に入社し、早くも5ヵ月が経過しました。建築学研究室を修了
した全くの理系出身者。営業課にて、日々葛藤中。秋葉原ダイビルを担当しています。
※秋葉原ダイビルでは2005年4月より定期的にCAMPワークショップを
開催しています。
第34回目
(2006年08月07日更新)
市川はるみ/等価変換創造学会会員(等価変換理論 発明者の娘)
2月と6月の2度にわたり、「等価変換理論」による「発明ワークショップ」を開催していただきました。
「等価変換理論」とは、"創造"に共通するプロセスを解明し、体系化したもので、故・市川亀久彌が60年以上前に提唱、研究を続けたものです。
"創造の科学"として、科学や工業上の発明だけでなく芸術や社会構造およびその歴史的な展開の過程まで視野にいれた理論です。創造性を天才や偉人だけのものではなく、普遍的なものとして捉え、だれもが創造的思考力を持ち、人間とは創造的な活動に生きがいを見い出すものであるという人間観をも打ち出しています。
どんな創造的活動も、自分自身で一所懸命考えることが不可欠です。そして、「等価変換理論」は、考えることを助けるためのもので、普段当たり前と思っていることや、わかりにくくて考えてみようとされないことについても、自分で考えるための手がかりになるものです。
ワークショップでは、「等価変換理論」の考え方にもとづいて、関係なさそうな2つのものに共通するものを見つけたり、いつもとは違う見方で身の回りのものを捉えたり、そして、それを生かして新しいものを作ったり。こどもたちは楽しそうに、また一所懸命に悩み、くたくたになるまでたくさん考えてくれました。そんなこどもたちの姿は感動的で、このようなワークショップができて本当によかったです。そして、考えることの苦しさ、楽しさを体験したこどもたちが、実生活の中でも考えることを忘れないでいてくれたら、と思いました。
CAMPのスタッフの方々には「等価変換理論」でワークショップをやってみよう、という大胆な決断をしていただいたこと、また、全く未知のワークショップを一から作り上げていただいたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。まさに創造的な過程だったと思います。
市川はるみ(いちかわ はるみ)
職業は出版物編集者。フリー。主に映画に関する本作りに携わる。市川亀久彌
の娘という縁で「等価変換創造学会」の活動に末席にて参加させていただいて
いる。
第33回目
(2006年07月07日更新)
広川 泰士/写真家
初めはちょっと緊張気味で、朝から様々な家族が受付を済ませて会場に集まって来ます。
「顔が似ているな、この親子」、「この子はのびのび育ってるな」とか「仲が良い一家だな」なんて皆さんの顔ぶれを眺めながら思っている内にお互いの自己紹介も終わり、もう少し家族のことが解かって来ます。
皆さん思い思いの場所で家族単位、写真を写し合い、僕も参加された家族を撮影しますが、その時のノリの良さにはビックリ。それぞれの家族の個性がそれぞれのノリになって、人間関係や親密度までが写ります。
写真をセレクトする頃にはもう家にいる時と同じ普段状態。朝「お家に帰りたぁーい」と泣いていた女の子もはしゃいでいます。
家族全員で創った世界に一冊しかない写真集をニコニコしながら大事そうに持ち帰る姿を見ていると、僕まで嬉しくなります。CAMPのスタッフの皆さんの献身的な仕事ぶりにも頭が下がります。
皆さんお疲れ様でした。
やって良かったなと思いました。仲が良い家族がさらに仲良くなった様な気がしました。
もっといろいろな家族と会いたいな。
広川 泰士 (ひろかわ たいし)
写真家。その特異な視点から人間や自然を鋭く観察。主な作品集に、世界の砂漠にて星の軌跡と奇岩を同時に収めた『TIMESCAPES-無限旋律-』(青木書店刊)、枯葉のさまざまな姿を捉えた『時のかたち』(ONE STROKE刊)など。
http://www.cyberoz.net/city/hirokawa/top_j.html
※CAMPかぞくのひづけワークショップは、CAMPと広川泰氏士氏、駒形克己氏(絵本作家)が共同開発したワークショップです。2005年11月大川センターでの初開催に続き、2006年5月東京都写真美術館で開催致しました。
第32回目
(2006年06月06日更新)
大月ヒロ子 /IDEA,INC 代表
CAMPが京都で産声を上げたころ、私は大阪府のチルドレンズミュージアム、ビッグバンの仕事についていました。そこではこどもたちが生き生きと活動したくなる雰囲気作りをとても大切に考えました。
もちろん、一番大切なのは人ですが、そのほかにも重要な要素はあります。
何かが始まりそうな、うきうきと楽しい気持ちを誘うカラーリング。イマジネーションをかきたてるような素材や道具。理解しやすく、親しみの持てる文字や言葉。ちょっとしたもの、たとえば、紙一枚、はさみ、名札、チケット、整理番号札、リーフレット、レシピ…なんてものでも、選ぶなら最良のものを、作るなら心を込めてセンス良く、と心がけていました。ワークショップスペースには、様々なリサイクルの素材を使いやすく分類し、輸入した造形パーツなどと一緒に蓄えていました。
時は流れ、2005年。念願かなってCAMP(大川センター)を初めて訪れた時、私は驚きました。
その頃の私と同じような気持ちで、空間を、そして材料を整えていた人たちが、ここにもいたのだ!と。それも同じ頃!!!もちろん、同じものも沢山ありました。なんだかとても嬉しくなりました。膨大な数のものの中から、これ!というものを嗅ぎ分け、ピックアップする。同じ目線の、同じ嗅ぎ分け方の人とは、ことばを必要としないくらい分かり合えます。
ビッグバンでは迎える側でしたが、今度は、迎えられる側。こどもでなくとも、ウキウキします。カラフルな素材を目にしたときには、決まって、手で触わります。何かを作りたい気持ちがむくむくと沸きあがってきて、とうてい抑えることは出来ません。気持ちいい外光の入るスペースでは、体も心ものびのびします。子ども、科学者、アーティスト、一般の大人が、ここで一緒に何かをする。このスペースがあって、人が集まれば、自然に何かが始まります。この実験工房が、いろんな町にあったらなー……そう思うのはこどもだけじゃなく大人も同じ。一般の人だけじゃなく、アーティストも、科学者も、学生も、同じはず。このよさを保ちつつ、これからCAMPがどんな風に拡がっていくのか、とても楽しみです。
大月ヒロ子 (おおつき ひろこ)
板橋区立美術館で教育普及事業を担当後、1989年、IDEA,INC.設立。ミュージアムの展示企画、教育プログラムやキット開発、移動ミュージアムなどの開発・運営を手がけ、大阪府立大型児童館ビッグバンでは総合プロデューサーとしても活動した。最近はチルドレンズミュージアムやキッズスペースの空間デザインも手がける。著書に『まるをさがして』福音館書店/『新 わくわくミュージアム』角川SSコミュニケーションズなど。
第31回目
(2006年05月12日更新)
米山 孝/株式会社CSKシステムズ
大川センターそしてそこでの活動であるCAMPを思うとき、『輪廻転生』という言葉を思わずにはいられません。
それは、時代が21世紀に入って間もなく、IT業界の寵児と言われたCSKグループ創業者大川名誉会長が亡くなりました。
そして、その約1ヵ月後、この場の誕生です。それもそこは、故人も好きだった桜の園の中にあり、その活動は、明日を担う子供達に発想のヒントを与える場、だなんてドラマチックすぎるなぁとしみじみ思ってしまうのです。
CAMP自体の活動は、ご覧頂いているサイトからも、あらゆる分野の方々が活動に賛同していることが十分伝わってくるものと思います。
今回はこんな機会をもらったので、当時、ここを立ち上げた際の話しなどして、CAMPをもうひとつの角度から楽しめそうな話しを少し紹介したいと思います。
大川センターは沢山の桜を主とした植栽があるのは既に有名だと思いますが、こだわりのアーキテクトによって、あらゆる所に桜を意識して設計されています。例えばフローリングの床も桜材です。
屋上では、茶の湯を楽しめるようにと、小さな場を作ってありますが、これは施工時、桜が十分育った頃、満開の折にそこの場所で、『お点前』を頂くと、その目線の先には、さながら桜の絨毯の上にいるような風景を味わえるはずだ、と想定の元に設計されていました。
桜が沢山咲いたら、塩桜やその葉を使って桜餅を販売しようなんて馬鹿な事を話したりもしていたものです。
センター内の桜は、春先に全ての桜が咲いて散ってしまうのはあまりにも寂しい、ということから、ソメイヨシノ以外にも20種類ほど、なるべく長い期間、色々な桜が見られるように工夫されています。
この敷地内には小さなものも含めて約400本もの桜があるのですが、これを集めること自体が至難のわざでした。
考えてみてください。いくら苗木もあるとはいえ、その数は、山一つ分にも匹敵する数です。メインツリーは東京都の青梅と千葉から、他は庭屋さんがルートを駆使して、北は福島から南は中国地方に渡って一遍に集められたのでした。
ただここ学研都市は、造成により造られた街である為、土壌が粘土質で植物が根付かない、その為、相応な工夫と手間隙が必要で、当時も今ももっとも苦労している部分のようです。
また、普段は公開されているか分かりませんが、センター内には茶室があります。ちょうど中庭のような空間がある場所ですが、ここの茶室は桂離宮内の茶室を参考にしたものでもあります。
CAMPでの活動を知ると、そのコンセプトに賛同しない人などいないものと思います。
これからも自由な発想でますますの発展を、関係者でありながら願っています。
1年中、満開ですね。
●ご参考 創業者ってこんな人
http://www.csk.com/ICSFiles/afieldfile/2005/09/16/AR_FY01_p03.pdf
http://www.csk.com/corp/publication/issue/1176916_1781.html
米山 孝(よねやまたかし)
株式会社CSKシステムズ在籍。
関西文化学術研究都市において、大川センターの施工からCAMP立ち上げまで
全面的に携わる。
第30回目
(2006年04月11日更新)
田村 拓/株式会社CSKホールディングス 執行役員 社会貢献推進室長
CSKグループの社会貢献活動・CAMPの5周年にあたり、まず心からの感謝を申し上げたいと思います。本当に多くの皆さんに支えて頂き、この活動を続けてくることができました。
創作体験と共同作業の場であるワークショップは、こどもたちが主体的に考え、話し合う姿勢を体得する新しい学びのスタイルとして注目を集めています。2000年に初めてCAMPの構想を描いた時、「ワークショップ」という言葉の響きに大きな期待を感じながらも、それは文字通り、全てが手探りの、不安なスタートでした。
良質なワークショップの「磁場」になりたい・・・それが最初の志でした。以来5年、多くの仲間とサポーターの方々、そして情熱にあふれたスタッフに恵まれ、CAMPはこども向けワークショップの分野でさまざまな経験と実績を重ねてまいりました。何よりも嬉しいのは、CAMPに関わった多くの仲間たちが、その後もこの世界で活躍し、彼らとのコラボレーションが、活動の幅をさらに大きく広げてくれていることです。ワークショップを通じて、多くの先達やこれからこの分野を目指そうとする若い方々と知り合うこともできました。
少子化、核家族化、コミュニティの変化。物質的豊かさが実現する一方で将来への目標を見失い、学校現場では「知識」と「ゆとり」のはざまに揺れるこどもの教育。21世紀を担うこどもたちの育成に、企業も少なからず責任を負う時代が来たと思います。
IT社会の未来をこどもが先導すると言った大川功氏の言葉がきっかけとなって生み出されたCAMP。それを見ることなくこの世を去った大川氏の遺志を受け継ぎ、世界のこどもたちが、互いを理解し、尊重し、共生を望む社会の実現に、ワークショップを通じて少しでも貢献できれば素晴らしいことだと思います。
皆様のますますのご支援と叱咤を宜しくお願いいたします。
田村 拓(たむらたく)
株式会社CSKホールディングス 執行役員 社会貢献推進室長
2000年にCSKグループの社会貢献活動・CAMPを企画。2001年の
スタート以来、本活動の責任者を務める。
第29回目
(2006年03月09日更新)
下村 一/こどもの城
「ワークショップの魅力」
CAMPとの出会いは、2003年3月~4月に行った「絵本とコミュニケーション -コマガタワールド-」という駒形克己さんの絵本作品を中心とした企画展でのこと。
大きなガラス張りの明るい建物で、開放感にあふれていたことが印象的だった。
年1回のペースで全国各地を巡回した「絵本とコミュニケーション」だったが、これほどに美しい空間に仕上がったことはなかったと覚えている。ワークショップに対して真摯に臨むスタッフにも姿勢にも驚かされた。
ワークショップには、人間の持っている知的好奇心、表現をしたいという欲求、こどもにも負けない遊び心を刺激する要素があるが、更に人と人とを強く結びつけるという作用がある。
駒形克己さんとのワークショップを通じた出会いがCAMPのみなさんとの出会いを生み、更にダイアログ・イン・ザ・ダークのみなさんとの出会いにつながっていった。
昨年、ダイアログ・イン・ザ・ダークの発案者であるハイネッケ博士にまで会うことができたのは、本当に棚ぼただったが・・・。
この次は、どんなワークショップを通じて、どんな人たちに出会えるのか。
考えているだけで、何かワクワクしてくる。
下村 一(しもむらはじめ)
東京・渋谷にある総合児童センター「こどもの城」企画研修部に勤務。日頃はデスクワークに追われる日々だが、時折、こどもを対象としたワークショップをすべく画策している。今年度は「ダイアログ・イン・ザ・ダーク 子どものためのワークショップ」や中高生による「街づくりワークショップ」などを行った。
▼「こどもの城」http://www.kodomono-shiro.or.jp/index.html
第28回目
(2006年02月07日更新)
大木友梨子/特定非営利活動法人学習環境デザイン工房
「きっかけは・・・」
私がワークショップに関わるようになったきっかけは、大学生の時のこと。
小学校で図工の授業のお手伝いをさせてもらった時、衝撃を受けたのがきっかけでした。
木で作ったブロックを組み合わせて、自分の部屋をつくる。という1年生の授業でした。なんと部屋と同じくらいの大きな虫取り網をつけていた子がいたんです。物つくりが好きだった私はそれを見た瞬間「負けた~」と思いました。
他にも、考えもつないようなものを作っている子がたくさんいて、こどもってこんなにすごかったっけ?と驚きました。
自分もこどものころは自由な発想ができたはずなのに、いつの間にかそれなりのものしかできなくなっている。ということに改めて気づかされたのです。
それ以来積極的にこどもとものを作る場に関わるようになりました。
みなさんがワークショップに携わるようになったきっかけはどんなことですか?
大木友梨子(おおきゆりこ)
多摩美術大学卒業後、NPO学習環境デザイン工房に所属。美術館や小学校と連携をとり、メディア系のワークショップを運営する。現在は2004年、香川県高松市に新設された「e-とぴあ・かがわ」の講座担当者として、こどもから年配の方まで幅広い年齢層を対象に講座を開設している。
▼「e-とぴあ・かがわ」http://www.e-topia-kagawa.jp/
※「e-とぴあ・かがわ」では、こどもむけ定期講座としてCAMPクリケット
ワークショップを開催しています。
第27回目
(2006年01月12日更新)
鈴木量大/株式会社クロスフィールドマネジメント マネージャー(渉外・産学連携機能担当)
「では、今からファシリテーターの研修を行います。自由に作ってみてください」。明日は、クリケットワークショップ・ファシリテーターデビュー戦。こどもの自主性やコミュニケーションをみごと引き出し、華々しいデビュー戦を飾ってみせると意気込んでみたものの、いざ作れと云われても十数年全く使ってこなかった脳みそは氷のようにカチンコチンに固まってしまって、全くアイディアが浮かびません。5分、10分と時間が経ち、同じくデビューする“パックン”と“ありがとう24歳”はすでに制作に入っている。焦る。まあ、難しく考えないで、今日は練習だしと開き直って、目の前にあった素材をくっつけてみる。色々と試しているうちに段々と形になってくる。
出来上がったのは制限時間ギリギリ。我ながら会心の作だ。うーん。CAMPワークショップおもしろい。ファシリテーターとしての心得も忘れ、久しぶりにワクワクして作品作りに没頭してしまった。CAMPワークショプは、こどもだけではなく、おとながやってもおもしろい。やっぱりコンテンツがいいんですね。今後もこどもたちの豊かな心、創造性を育む色んなワークショプを作り続けてください。
そして、こどもたちに夢と好奇心を与え続けてください。
鈴木量大(すずきかずひろ)
(株)クロスフィールドマネジメント マネージャー(渉外・産学連携機能担当)
・秋葉原クロスフィールド
様々な領域(フィールド)の人々と様々な領域の情報が集い、秋葉原で交流(クロス)することによって、新しい価値創造を目指す。人の交流、情報の交流、産業の交流をテーマに、こうした様々な交流が活発に行われるように、産学連携機能、情報ネットワーク機能、集客等機能、オフィス機能を整備し、秋葉原に世界的なIT拠点を形成していこうというプロジェクト。
・(株)クロスフィールドマネジメント
秋葉原駅前再開発を行う事業者3者(NTT都市開発・ダイビル・鹿島建設)の出資で設立。秋葉原クロスフィールドが実施する事業の運営管理、情報発信事業及び渉外業務等を行う。
※CAMPはクロスフィールドマネジメント社と協同で、2005年春にオープン した秋葉原ダイビル『学びと創造の場』において、CAMPワークショップ を継続開催しています。
2005年
2004年
2003年
ファシリテーターリレーコラム
CAMPで活動するファシリテーターが、ワークショップへの想いを語ります。
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
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2007年
2006年
2005年
第26回目
(2005年12月06日更新)
うえのうけんじ
2005年11月13日
写真のワークショップがありました。
そのワークショップの中で、写真家広川泰士さんが撮影された参加家族のポートレイトを10枚ほど目にしました。今までのポートレイトのイメージとは違う、家族ではない僕までおもしろく見られる、そんな写真となっていました。
この家族はお母さんと娘二人対お父さんという関係だな、こっちの家族は弟が甘えんぼで家族のペースを作っているな、など。
・・・そう、その写真には家族の関係性まで写っているのです。
写真に写される情報が姿かたちだけではない。
普段のワークショップでもその日を振り返るために写真を撮影しています。
1人を写すときは、その頭の上に「!」や「?」が見える瞬間。
2人を写すときは、その瞬間に加えて2人のやり取りが想像できるような一瞬。
3人、4人・・・と続いていきます。
けれどたくさん写しすぎると、焦点がぼやけてしまう。
ポートレイトでは背景は一色で何もなく、写るものは家族だけ。
だからこそ、家族の関係が浮き彫りになるのだと思います。
ワークショップでも、そんなこどもたち同士の関係性まで見えるような写真を、こどもたちにこそ観てもらいたい。
そこにはきっと、普段鏡の前では見られないようなステキな表情も想像もして
いないような表情も写っていると感じているからです。
けれどまだまだ出遅れて撮れていない写真、見落としている瞬間がたくさん・・
その瞬間のために這ってでも、頭を打ってでもカメラを構えたいと思います。そんな風に思えたのも、初めてのワークショップのリフレクションで「いい顔」をたくさん観たから。
うん、ワークショップはファシリテーターにも、良い何かを与えてくれているようです。
写真を撮ることは楽しい!
うえのうけんじ(バトンは こうたじゅんこさんへ)
第25回目
(2005年11月09日更新)
おばた けん
ハイサイ!!
沖縄で「CAMPクリケットワークショップ」を開催しました。
夏休みも終わり、真っ黒に日焼けしたこどもたち。
期待と不安な表情を覗かせながら、ワークショップ会場にやって来ました。
くじ引きで二人一組になり「海」をテーマにした作品をつくります。(お父さんが海人(うみんちゅ・漁師)だから船を作るんだ!と言い張るこどもも…)
はじめて出会ったこどもたちは最初はコミュニケーションが上手くとれなくても、ワークショップが進むにつれて大人とは違う感性できちんとお互い協力して作品をつくりあげていきます。
こどもたちのそんな姿を目の当たりにしながら、何かの縁で出会う人と人との出会いやつながりって(言葉では表現しにくいですが)、いいなと感じました。
そうそう、沖縄にはこんな言葉があります。
「いちゃりばちょーでー」
一度あったらみな兄弟という意味です。一期一会の出会いを大切にする気持ちを忘れたくないですね…。
こどもたちが作り上げた作品の発表を聞きながら、感性や創造力の豊かさを感じつつ、ワークショップの魅力も感じることができました。
そしてワークショップも終わりに近いた頃、外からお祭りのエイサーの掛声が「イヤー・サッサ」
大人たちの疲れも露知らず、こどもたちはお祭りへ…。
底知れぬこどもたちのパワーにびっくりです。
おばたけん (バトンは うえのうけんじさんへ)
第24回目
(2005年10月06日更新)
ふじお とうすけ
こどもについて
サマーハウスに参加した。
3日間続きの、大掛かりなワークショップ。
3日間、同じこどもたちとずっと一緒にいると、少し親心みたいなものが芽生えた。
「親はなくとも子は育つ」というけど、その逆はなくこどもがいなければ親が育つことはないように思う。こどもを守ろうとする気持ちや、こどもを愛しむ気持ちが、人を親にしていくのではないだろうか。私はまだまだ親という大変な立場にはないけれど、こどもと触れ合うことで少し大人になれた。
自分が大人になるにつれ、彼らのことがよく分かるようになってきた。こどもの心とはなんて分かりやすいのだろう。彼らのことはよく理解できる、なんと言っても、自分も同じ経験をしてきているのだから。
そんなことを考えながら、自分の子供の頃に鑑みれば、親の姿が思い浮んだ。
子供の頃の私は、親に色々なことを隠しているつもりで、その実はほとんど見透かされていたんだろう。
あぁ、なんて恥ずかしい。
大人たちは、どんな気持ちで私に接してくれていたんだろうか。
私はこどもと触れ合うとき、その向こうに幼かった私を可愛がってくれた人を写し、そのこどもに幼かった頃の自分をみてしまう。私を可愛がってくれた人たちと同じようにこどもたちに接し、私がもらった愛情を、こどもたちへ返そうと思っている。
彼らが、大人になったとき、こどもの向こうに私の姿を思い出してくれればいいな、と思う。
ふじおとうすけ (バトンは おばたけんさんへ)
第23回目
(2005年09月12日更新)
やまざき さほこ
はじめの一歩
私は、人前で話すのがとても苦手。
考えただけで、心臓がドキン、ドキン。
手も汗でぐっしょり。
大勢を目の前にした瞬間、頭の中が真っ白。
ところが、最近、以前ほど動揺していない自分に気づきました。
大きな発見でした。
人前で話す機会が多かった結果のようです。
日常の生活の中でも、いつの間にか何気なくできるようになっていたことがあることに、近頃よく気づきます。必要に迫られたいろいろな経験は、無駄ではなかったんですね。
過ぎてしまえば何気なくですが、最初はいつもチャレンジです。
これからも勇気をもって、"はじめの一歩"!
やまざきさほこ (バトンは ふじおとうすけさんへ)
第22回目
(2005年08月09日更新)
いしかわ たかこ
花咲かじいさん
わたしは花咲かじいさんを知っています。
わたしと花咲かじいさんは、よく同じ苗木をそれぞれ育てます。
これまで、ハイビスカス、がじゅまる、ポトスなどなど、いろいろチャレンジしました。
でも、わたしの木はいつもある程度育った後、ぱったりと成長が止まってしまいます。狭い部屋なので、そんなに大きくなっても困るからいいか。と思っていると、いつの間にか先っちょが黄色くなっていたりします。
これはまずいかも。と思っておじいさんのところに持っていってリハビリしてもらうと、あら不思議!?枯れかけた木や花もおじいさんの手にかかればたちまち元気はつらつ!ぐんぐん育つ!
「どうして?」と聞くと答えはいつも同じ。
「愛情が違うんだ」
(ほんとに毎回同じ言葉が返ってくる)
おじいさんのお部屋は、まるでジャングルのようにわっさわっさ。私と同時に育てはじめたハイビスカスが何本も咲いています。挿し木でどんどん増えているのです。
おじいさんはよくメガネを頭の上にのせて、じーーーーーーーっと葉っぱを見つめています。木の状態をじっくり観察しているのです。
私は自分の気まぐれで、水を換えなかったり、急に栄養剤をあげたり、Xmasだからとリボンを結んでしまったり・・・・・反省。わかっていてもまた繰り返してしまう自分が情けない。
でも、次は何にチャレンジしようかな。
育てる、ということはとてもむずかしいけど、やっぱり楽しいな。と思うのです。
いしかわたかこ (バトンは やまざきさほこさんへ)
第21回目
(2005年07月07日更新)
むらた きょうこ
告白
一日一日『大人』な年齢に近くなっていく、なってしまった。
と同時に何かが少しずつ少しずつはがれ落ちていってしまうような、『嬉しい』とか『楽しい』とか『すごい』とか『悲しい』とか、、、、。
ヒットする基準が高くなってきているような、退化しているのか進化しているのかわからない。そんな思いに陥ることがある。
みんなと接するときにいつも思うのが、その幅の広さ。
ドキドキ、ワクワク、ハラハラ、やられたっ!、あぁまたやり直し、、、、
ちょっとしたことでも響く。(だから言葉には慎重にならないといけない。)
あ、そういえば私もこどものころにそう思った気がする。
いつのまにかそれが普通になり、見過ごしても特になにも感じない、気づかないものになってしまったこと。
ひとつひとつ気にしていたら、どうしようもないし、慣れた、歳を重ねた、ということなのだろうけど。
でも、たまには思い出したい。
実は、ワークショップ中、ファシリテーターしながら、みんなから溢れたそんな鮮やかな感情の一葉一葉を拾って、思い出して、ためているのです。
むらたきょうこ(バトンは いしかわたかこさんへ)
第20回目
(2005年06月07日更新)
こいずみ ひろあき
ある日、社内でこども向けのワークショップを開催していることを知りました.。とても興味を持って見学と称し会場に遊びに行きました。
ファシリテーターの流れるような進行に感動し、作品を作るこどもたちのエネルギーに圧倒され、ワークショップが進むにつれて、ついに見ていられずに声をかけ、手を貸して、一緒に考えて・・・。
自分の会社で開催していることが夢のように思え、その後ファシリテーターの社員ボランティア募集を見た時には、迷わず手を挙げていました。
ファシリテーター経験はまだ数回ですが、毎回違う気づきがあります。こどもたちの考えていることを感じ取る難しさに悩みながら、「う~ん・・・実はファシリテートされているのは自分かもしれないな!?」なんて思うこともあります。肉体的には疲れますが、精神的な楽しさと満足感を毎回体験しています。そしてCSKが、このような社会貢献活動に取り組んでいることを誇りに感じています。
こどもたちの創造性や表現力、目的に向かっていくパワー、これは僕たち大人が忘れかけていたモノではないでしょうか?作品完成という目的に向かってどんどん進んでいく。時には考え込んでまったく止まっちゃう場面もあるけど、想像を膨らませて、パートナーと相談して、ファシリテーターに聞いて、また進んでいく。その一瞬一瞬がすべて輝いている宝物のようです。
また、次回の宝物(ワークショップ)を楽しみにして・・・
こいずみ ひろあき (バトンは むらたきょうこ さんへ)
第19回目
(2005年05月09日更新)
おおにし けいこ
いつから人は人となったのでしょう。
旧石器時代後期よりも以前にさかのぼると、正確には人間について語れるとはいえなくなり、あちらこちらの洞窟には人間に似た生き物が住んでいまた。
この生き物が他の動物と違うのは、道具を使い労働し、石を切るための仕事場を持っていました。けれどこの生き物は、決して芸術を作らなかったのです。
しかし旧石器時代後期の前半期に作られたものと推定されるラスコーの洞窟の壁一面には、おびただしい数の美しい動物たちが描かれています。
人に芸術は必要なのでしょうか。
なくても生きていけるものなのになぜ存在するのでしょう。
ワークショップも同じで、生活の中で必ずしも必要なわけではなく、行かなければならないものでもありません。
けれど私は、こどもたちが自分の表現を形にすることを通して人とつながることや同じ時間を共有することで生まれるかけがえのない場の一つだと実感しています。
きっと芸術は、崇高なものでも生活に必要なものでもなく、人間がどう生きていくかのキーワードなのではないでしょうか。
そして、ラスコーの洞窟は、人が無から作り出される想像の能力を示した最古の芸術生誕の場であると同時に、人が人となった場所なのかもしれません。
おおにし けいこ (バトンは こいずみひろあき さんへ)
第18回目
(2005年04月13日更新)
つじ ともこ
最近、目のまわりに細かいしわができているのを発見しました。(ちょっとショック)ふだんあんまりじっくりと鏡を見てないので、ずっと前からできていたんだろうけど、気づいていなかったんですね。
しわに気づいたとたん、ひとの目の表情が気になりだしました。「ひとの目が気になる」ではないですよ。いろんな人の目と、その周りのしわがどんな感じなのか、よく見てみることにしました。
大きくて吸い込まれそうな目、小さい光が奥のほうできらっとまたたいている目、疲れているのか、すみっこが暗くなっている目…。
目の周りのしわも、人それぞれでおもしろい。お年寄りのしわは特に魅力的ですが、50歳くらいの働き者のおじさんにも「やったぜ」と笑っているようなくっきりとしたいいしわがあることに気づきました。
メイクしている目を見るのもおもしろい。若い女の子の目はまつげがふさふさして、アイシャドウがきらきら。マダムのまぶたも色とりどりで、おしゃべりしているみたいににぎやか。
目には、その人の毎日の暮らしぶりと歩いてきた道のりが現れているようです。
こどもの目をのぞきこむとその透明さに驚きます。当然しわなんてないですし、つるっとしたもんです。あんまり無垢なのでこの生き物はどこか遠くから運ばれてきたのか、とも思います。きっと心の中では苦しかったり腹が立ったりしているでしょうが、まだきれいなまんまです。
いつか少しずつしわができて大人の顔になったとき、いい目をしていてほしい。こどもの透明な目に何を見せ語りかけようか、先に大人になった手前ちょっと責任を感じています。ワークショップの組み立てを考えるとき、こどもとの関わり方にいつも悩んでしまいます。
でもどちらかというと、くるくるよく動く目を、もっとくるくるきょろきょろさせてやりたくて、次の遊びを考えていると言ったほうがいいのかもしれません。
つじ ともこ (バトンは おおにしけいこ さんへ)
第17回目
(2005年03月16日更新)
まきのまお
こどもは投げかけた言葉を素直に響かせる。
なので、褒める事はもちろん、絡まっている糸をほぐす言葉がワークショップで基本なんだけど、とっても重要なファシリテート。
一年で最大級のクリスマスワークショップ。
こども達も今日はドキドキわくわく。
ちゃんとリーダーできるかな?
皆と仲良く楽しめるかな?
そんな不安と期待が入り交じった顔をしている。
もちろん新米の私も。
そんな中、初めてのグループ共同作業「グループ名を決める」。
するっと名前が出て来るチームもあれば、皆が遠慮して出て来なかったり、決められなかったり。
私も一緒に
うーん。どうしよう、ね?
ふとある女の子の書いた提案を見ると、
すっごい上手!字が!!
思わず口に出た。
次にこのチームのテーブルに戻って来ると、その子のがグループ名になってた。
こっちは、皆遠慮して出て来ない。
やらないと、良いのも悪いのも出て来ないよー。
全員にひとまず書いてもらった。
次にこのチームのテーブルに戻って来ると、皆のを繋げてグループ名になってた。
ケーキにクリームをぬる作業。
あるグループは、ちょこちょことぬり足していたのでいったん沢山クリームをスポンジにのせてからが早いよ?
「これでいいの!」
おっ、何か策があるのね?要らない一歩先周りをしちゃったな。
今度戻って来たら、クリームの仕上がりがすっごく丁寧なケーキになってた。
そう、必ずしもそれが大人から見た「絡まった状態」ではない事もある。
色んな状況や色んなパーソナルを持ったこども達でとても複雑に要素が絡み合っている、答えもその数以上にある。かといって恐れても始まらない
まずは素直に子ども達がやり遂げた事や気づいた事に驚きと暖かいまなざしのある言葉を投げかけれればこども達が響き、私もそのまっすぐな気持ちに後押しされて動く。
そしてワクワクが伝染していくのだ。
これを体験した人は、きっと止められないと思った。
第15回目
(2005年01月07日更新)
いしかわ たかこ
「スイッチが入る瞬間があります」
3年前、初めてCAMPを取材した時のあるファシリテーターの言葉です。スイッチが入る?!ワークショップに参加するこどもたちには、まるでパチッと音が鳴ったかのように切り換わる瞬間があるそうです。1度スイッチが入れば、それはそれは大人顔負けの集中力をみせるとか。
3年が経ち、私はCAMPのファシリテーターになりました。
ひとりの子が自己紹介で「今の気持ちはブルーです。あまり期待していないから・・」、この言葉に新米ファシリテーターの私は動揺しました。
だるそうにパソコンで練習問題をはじめた彼。クリケットにダウンロード・・・失敗。もう1回ダウンロード・・・また失敗。側で見ている私はハラハラ。
「・・なんで?」
次の瞬間、私を見上げた彼の表情を見たとき、忘れかけていたあの日の言葉が一瞬にしてよみがえりました。・・・・スイッチガハイルシュンカンガアリマス・・・・これかぁっ!
「始めると、やりこめて、みんな個性的な作品ができて楽しめた」最後に書いてくれた感想です。
新米ファシリテーター、これからがんばります!